一般人が普段からできる災害対策の一つに、食料や水などの備蓄があります。

生物が生きていくうえでは、食料と水の定期的な摂取が必要であり、これらが無ければ最後に待つのは死であるからです。

しかし、大きな災害が起こったあとは、物流やライフラインが長期的にストップする可能性がでてきます。

災害の範囲が広かったり、交通網にも影響がでるような大災害の場合は、すぐに食料や水が届かない可能性も懸念されます。

そこで今回の記事では、過去の大きな災害で物流やインフラなどがどれくらいで回復したかといったケースを確認し、どれくらい備蓄しておくと安心なのかを考えてみたいと思います。

阪神淡路大震災と東日本大震災でのライフラインの復旧日数は?

異常な天候や自然災害が発生した場合、電気や水道、ガスのような日常生活に不可欠なインフラも大きな被害を受け、供給が途絶えてしまうことがよくあります。

しかしながら、被害を受けた地域で復旧が始まると、それぞれのインフラが復旧するまで、どのくらいかかるのでしょうか?

そこで今回は、近年で特に犠牲者が多く大きな地震として記憶に新しい東日本大震災(2011年3月11日発生)や阪神淡路大震災(1995年1月17日発生)で例を見ていきましょう。

全復旧ではなく、だいたい9割程度復旧した日数で、順番は東日本大震災・阪神淡路大震災の順になります。

電気の復旧にはそれぞれ6日と2日かかり、水道の復旧には24日と37日、ガスの復旧には34日と61日かかっています。

一般的に電気が最初に復旧する傾向にあり、次に水道が復旧することが多く、最後にガスが復旧する傾向にあることがわかります。

また、水道やガスの復旧には、電気の復旧に比べて相当な期間が必要であるということも分かりました。

ライフラインの状況や交通事情の悪化といった要因もあり、災害が発生すると、救援物資が届くまでに3日以上かかることが一般的とされています。

スーパーやコンビニエンスストアのような店舗では、物流が滞り、しばらくは食料が手に入らない可能性があるため、家庭では最低でも3日分、できれば1週間分の食料を備蓄しておくことが必要です。

災害時の食料備蓄の目安

農林水産省が頒布している「災害時に備えた食品ストックガイド(平成31年3月)」によれば、大人2人が1週間分の食料を備蓄する場合、以下の量を備蓄しておくと良いというガイドラインがあります。

文字起こしもしておきます。

水(飲料水+調理用水)の目安

  • 2L×24本 ※1人1日およそ3L程度

食料の目安、おすすめの食品

主食

  • 米:2kg×2袋 ※1人1食75g程度(備蓄は1袋消費したら1袋買い足す)
  • 乾麺:そうめん2袋(300g/袋)、パスタ2袋(600g/袋)など
  • カップ麺類:6個
  • パックご飯:6個
  • その他:ロングライフ牛乳、シリアル など

主菜

  • レトルト食品:牛丼の素、カレーなど18個、パスタソース6個
  • 缶詰(肉・魚):18缶(お好みのもの)

副菜、その他

  • 日持ちする野菜類:タマネギ、ジャガイモ など
  • 調味料:砂糖、塩、しょうゆ、めんつゆ など
  • 梅干し、のり、乾燥わかめ など
  • インスタントみそ汁や即席スープ
  • 野菜ジュース、果汁ジュース など
  • チョコレートやビスケットなどのお菓子類

備蓄する食料品や日用品のオススメ

備蓄する食料のオススメなどを解説していきます。

まず被災後でも安心して食べられる食品を備蓄することが食料備蓄の主なポイントです。

そのため、賞味期限が長く、栄養のバランスのとれたものを選ぶことが大切です。

主食

まず主食にはパンや米、麺類がおすすめです。

また、栄養バランスを考えると、米よりも雑穀米を選ぶと良いでしょう。

炊くのに水は必要ですが、ご飯が炊ける環境であれば、混ぜるだけで栄養素がプラスされます。

また、非常用に販売されている水ですぐに作れるアルファ米やパンの缶詰めなども便利です。

パスタや乾麺もお湯が必要なので注意が必要です。

お湯を作れる用意ができる場合には、これらの主食を備蓄しておきたいです。

主食以外にも、スープの素やカレールーも用意しましょう。

味のバリエーションがあることは心に余裕をもたせることにも繋がります。

野菜や果物など

次に、野菜や果物を含む食品は、新鮮なものは保存がきかないため、水煮やレトルト食品などの非常食を揃えるのがおすすめです。

特に、ビタミンCや食物繊維などが豊富で保存がきく缶詰や、トマトジュースなどの飲み物は必需品です。

缶詰は常温保存も問題なく、賞味期限も長いので優秀な備蓄食品といえます。

タンパク質を取れる食品

さらに、災害時に不足がちな栄養素…タンパク質などの取り方についても考慮する必要があります。

災害時はどうしても炭水化物中心の食事になる傾向があるため、ビタミンやタンパク質が不足しがちです。

野菜ジュースや乾燥野菜、ドライフルーツなどでビタミンを補い、肉・魚の缶詰やレトルト食品で動物性タンパク質を補給することが大切です。

豆や高野豆腐などの植物性タンパク質を備蓄しておくこともおすすめです。

チーズなどの乳製品も良いたんぱく質源になります。

お菓子・嗜好品など

最後に、家族の年齢構成や嗜好に応じてお菓子やコーヒーなどの嗜好品も備蓄しておきましょう。

これらは長期保存が可能で場合によっては栄養もあり、ストレスを減らす効果もあるため、重要なアイテムです。

災害後は何かとストレスが多く、食欲がなくても食べられるこれらの嗜好品も用意しておくと安心です。

また電気の供給が止まることを考え、常温保存できる賞味期限の長い非常食を用意することが必要です。

その他注意点など

高齢者や子どもには、レトルトのお粥やカレー、野菜シチュー、チキンシチューなどのやわらかい食材も必要です。

そして、衛生面や調理法にも配慮しましょう。

衛生用品として、アルコール消毒液やマスク、ティッシュペーパーを用意し、調理に必要な器具としてカセットコンロ、フライパンなども用意しておくと安心です。

これらが災害時に備えるための備蓄の目安となりますが、当然家族構成や個人の嗜好によって必要なものは変わるため、それぞれの必要な量や種類は個別に検討してみてください。

普段の備蓄を行うことで、いざという時の対応が可能となります。

全ての備蓄が難しくとも、自分にとって必要なものをリストアップしてストレスを少しでも軽減できるような備蓄状況を用意しておくことが大事です。