「大雨は急に来るから、どうしようもない」――そう感じている方は多いかもしれません。
でも実際には、台風や大雨は数日前から段階的に「予測」できる情報が公開されています。しかも2026年5月29日から、その情報が大きく分かりやすく変わりました。
東日本大震災のとき、私は情報の取り方を知らず、ただ右往左往しました。それ以来、「どの情報を、いつ、どこで見るか」を自分なりに整理してきました。今回は、大雨に関する気象庁の情報を時間軸で並べてお伝えします。

数日前―「台風の進路予報」と「早期注意情報」
台風は5日先までの進路予報(予報円)が発表されます。予報円は「70%の確率で台風の中心が入る範囲」で、円が大きいほど不確実です。円から外れても暴風域に入ることはあります。
また「早期注意情報(警報級の可能性)」は、5日先までに警報級の大雨・暴風となる可能性を[高][中]の2段階で知らせるものです。数日前から心構えと予定の調整ができます。
半日前〜2時間前―「線状降水帯」の予測情報
2026年5月29日から、線状降水帯に関する情報は3段階に整理されました。
- 線状降水帯 半日前予測(「気象解説情報」として発表):6〜12時間前に「関東甲信地方」などの地方〜府県単位で、発生の可能性を呼びかける
- 線状降水帯 直前予測(「気象防災速報」として発表):2026年5月開始の新情報。発生の2〜3時間前を目標に、「〇〇県北部」といった一次細分区域の単位で発表
- 線状降水帯 発生情報(「気象防災速報(線状降水帯発生)」):実際に線状降水帯が発生し、大雨がさらに強まるおそれがあるときに発表
予測にはまだ精度の限界があり、「予測が出なかったのに発生」「出たのに発生せず」も起こります。出たら最大限の警戒を、出なくても油断しないのが基本です。

直前〜今―「キキクル」で“自分の場所”の危険度を見る
キキクル(危険度分布)は、大雨による災害の危険度を地図上で5段階に色分けしたものです。2026年5月には、洪水と浸水を重ねて表示する「大雨キキクル」が新設されました。ほかに土砂キキクル、洪水キキクルがあります。
- 黄:注意(警戒レベル2相当)
- 赤:警戒(レベル3相当)
- 紫:危険(レベル4相当)=危険な場所からの避難
- 黒:災害切迫(レベル5相当)=すでに災害発生のおそれ
紫になったら、自治体の避難指示を待たずに避難の判断を。黒は「安全に避難できる段階を過ぎている可能性」を示します。あわせて「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」で数時間先までの雨雲、「指定河川洪水予報」で大きな川の水位を確認しましょう。
2026年5月29日、情報の“名前”が変わった
体系の整理にともない、警報などに警戒レベルの数字が付きました。おもな例です。
- レベル5大雨特別警報(←大雨特別警報)
- レベル4大雨危険警報(新設。全員避難のタイミングを示すレベル4の「危険警報」)
- レベル4土砂災害危険警報(←土砂災害警戒情報)
- レベル4氾濫危険警報(←氾濫危険情報)
- レベル3大雨警報/レベル3氾濫警報、レベル2大雨注意報 など
- 記録的短時間大雨情報 → 気象防災速報(記録的短時間大雨) に改称
なお、市町村が出す避難情報(高齢者等避難・避難指示・緊急安全確保)の名前は変わっていません。「気象庁などの情報=現在の危険度」「避難情報=逃げる合図」という関係も同じです。
情報の入手経路をいくつか用意しておく
- 気象庁ホームページ(「キキクル」「雨雲の動き」をスマホでブックマーク)
- 防災アプリ(気象庁の情報や自治体の避難情報が通知で届く)
- 自治体の防災メール、緊急速報メール(エリアメール)
- テレビ・ラジオ(停電・通信障害に強いのはラジオ)
紘一のひとこと:
情報が多くて覚えきれない、と感じたら、まず一つだけ。スマホで「キキクル」をブックマークして、雨の日に自分の街の色を見る習慣をつけてください。紫になっていたら、それが「逃げどき」のサインです。名前が変わって戸惑うかもしれませんが、“数字が大きいほど危ない”は共通です。レベル4で全員避難、とだけ覚えておけば大丈夫です。
まとめ
- 台風進路予報・早期注意情報で数日前から、線状降水帯予測で半日〜2〜3時間前から危険をつかめる
- 直前は「キキクル」で自分のいる場所の危険度を確認。紫(危険・レベル4相当)で避難、黒は切迫
- 2026年5月29日から情報名が一新。レベル4大雨危険警報(新設)、レベル4土砂災害危険警報(←土砂災害警戒情報)など
- 入手先は気象庁HP・防災アプリ・自治体の防災メール・緊急速報メール・テレビ・ラジオ。複数の経路を用意する
- 秋雨前線と秋台風はなぜ危険か―9〜10月に大雨・暴風が増える仕組み
- 大雨は「予測」できる―2026年5月に生まれ変わった防災気象情報の使い方(この記事)
- 大雨・洪水に直面したら―警戒レベルと「逃げどき」、命を守る避難行動
- わが家の「マイ・タイムライン」の作り方―台風・大雨の行動計画を時系列で
- 土砂災害の前兆と「土砂災害危険警報」―秋雨・台風期に増えるがけ崩れ・土石流
参考・出典:
気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年〜)」
気象庁「洪水キキクル(危険度分布)」
気象庁「土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)」
内閣府「避難情報に関するガイドライン」
最終更新日: 2026年9月2日
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