大雨や洪水が迫ったとき、いちばん難しいのは「いつ動くか」の判断です。早すぎれば空振り、遅すぎれば命に関わる――その線引きを、あらかじめ言葉にしておくことが大切です。
私は東日本大震災のとき、「まだ大丈夫」と思っているうちに状況が動いていく怖さを味わいました。今回は、大雨・洪水に直面したときの「逃げどき」と避難のしかたを、内閣府・気象庁の情報をもとに整理します。

まず「5段階の警戒レベル」を頭に入れる
- レベル1:早期注意情報。災害への心構えを高める
- レベル2:大雨・洪水注意報。ハザードマップで避難行動を確認
- レベル3 高齢者等避難(市町村が発令):高齢者や体の不自由な人、避難に時間がかかる人は避難を開始。ほかの人も準備を
- レベル4 避難指示(市町村が発令):危険な場所から全員避難
- レベル5 緊急安全確保(市町村が発令):すでに災害が発生・切迫。安全な避難ができないおそれ。少しでも命が助かる行動を
2021年5月から「避難勧告」は廃止され、「避難指示」に一本化されました。レベル5は必ず出るとは限りません。
警戒レベル5は、すでに安全な避難ができず命が危険な状況です。
警戒レベル4避難指示までに自らの判断で危険な場所から全員避難しましょう。
―― 内閣府「避難情報に関するガイドライン」ポスターより
参考: 内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和3年5月)」ポスター(PDF)
「立退き避難」と「屋内安全確保(垂直避難)」を使い分ける
立退き避難=自宅の外の安全な場所(指定緊急避難場所、安全な親戚・知人宅、ホテルなど)へ移動すること。次の場合は原則こちらです。
- 洪水・津波・高潮の浸水想定区域で、想定される浸水の深さが自宅の階数より深い
- 「家屋倒壊等氾濫想定区域」(川の近くで、流れによって家ごと押し流されるおそれがある区域)
- 土砂災害警戒区域・特別警戒区域
屋内安全確保(垂直避難)=上の条件に当てはまらず、周囲より浸水が浅く、建物が頑丈で、水・食料などの備えがある場合に限り、自宅の2階以上にとどまる選択。ただしこれは「安全」ではなく次善策です。

避難のタイミングは「明るいうち・風雨が強まる前」
夜間や豪雨のなかの移動は、それ自体が危険です。高齢者等避難(レベル3)が出た時点、あるいは出る前でも、キキクルが赤〜紫になったら、風が強まる前に動きましょう。特別警報(レベル5)は最終手段の情報です。待ってはいけません。
避難中・在宅時の危険ポイント
- アンダーパス・地下:短時間で水没します。冠水した道路には入らない
- 用水路・側溝・マンホール:増水すると境目が見えません。田畑や水路の見回りに行かない(毎年多くの犠牲者が出ています)
- 車での避難:水深30cmでドアが開かなくなり、エンジンが止まります。50cmで浮いて流されます。冠水した道路への進入は避ける
- 足元:長靴は水が入ると動けません。ひもを締めた運動靴で。棒などで足元を確かめながら歩く
- 単独行動を避ける:声をかけあって複数人で
逃げ遅れた・移動が危険なとき
無理に外へ出ず、建物の2階以上、斜面や崖からもっとも離れた部屋へ移動します。川の氾濫なら川と反対側、土砂災害なら山と反対側です。携帯電話・懐中電灯・笛を身につけ、救助を求められる状態にしておきます。
家族との安否確認は“事前”に決めておく
災害用伝言ダイヤル「171」、災害用伝言板(web171、携帯各社)が使えます。「どの避難所へ行く」「連絡がつかなければ〇〇で落ち合う」を、平時のうちに家族で共有しておきましょう。一人ひとりの避難計画を時系列でまとめる「マイ・タイムライン」を作っておくと、当日の迷いが減ります。
紘一のひとこと:
「まだ大丈夫」と「もう遅い」のあいだは、驚くほど短いです。東日本大震災のあと、私が学んだのは「空振りを恐れない」こと。避難して何も起きなければ、それでいい。次からも動けます。逆に一度でも「様子を見よう」で助かってしまうと、次は動けなくなります。レベル4を見たら、天気が小康状態でも家を出る。その一回の判断が、いのちを分けます。
まとめ
- レベル4「避難指示」で全員避難、レベル5「緊急安全確保」はすでに手遅れかもしれない段階
- 浸水が自宅の階数より深い/家屋倒壊等氾濫想定区域/土砂災害警戒区域なら「立退き避難」。それ以外は2階以上への「垂直避難」も次善策
- 避難は明るいうち・風雨が強まる前。夜の豪雨のなかの移動は危険
- アンダーパス、用水路の見回り、冠水路の車――毎年ここで人が亡くなっている
- 安否確認の方法と集合場所は平時に家族で決めておく(171、web171)
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- 土砂災害の前兆と「土砂災害危険警報」―秋雨・台風期に増えるがけ崩れ・土石流
参考・出典:
内閣府「避難情報に関するガイドライン」
政府広報オンライン「『警戒レベル4』までに危険な場所から全員避難」
気象庁「キキクル(危険度分布)」
最終更新日: 2026年9月2日
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