台風が近づくたびに「そろそろ何か準備しないと」と思いながら、結局ぎりぎりまで動けなかった――そんな経験はないでしょうか。私は何度もあります。
そこで役に立つのが「マイ・タイムライン」です。台風の接近から避難までの行動を、家族ごとに時系列で書き出しておく防災計画です。今回は、その作り方を手順でお伝えします。

マイ・タイムラインとは
台風の接近などで川の水位が上がっていくとき、「いつ」「誰が」「何をするか」を、家族構成や暮らしに合わせてあらかじめ時系列で整理した、住民一人ひとり・家庭ごとの防災行動計画です。
2015年の関東・東北豪雨をきっかけに、国土交通省が普及を進めてきました。とっさの判断が苦手でも、「決めておいた通りに動く」ことで逃げ遅れを防ぐ狙いがあります。
作る前に、3つを調べる
- ① 自宅のリスク:ハザードマップで洪水・内水(浸水)・土砂災害・高潮の想定を確認。浸水の深さ、「家屋倒壊等氾濫想定区域」か、土砂災害警戒区域かをチェック
- ② 避難先:指定緊急避難場所、安全な親戚・知人宅、ホテルなど。災害の種類によって適した避難先は変わります
- ③ 避難経路:川・用水路・アンダーパス・崖を避けたルート。歩いて何分かかるかも測っておく

時系列に落とし込む(台風の例)
- 3日前:台風進路・早期注意情報を確認/冷蔵庫の食料を整理、飲料水とモバイルバッテリーを準備/家族の予定を調整
- 2日前:暴風域に入る時刻を確認/ベランダ・庭の飛散物を片づける/車を高い場所へ/常備薬とお薬手帳をまとめる
- 1日前:警報級の可能性を確認/非常持ち出し袋を玄関へ/スマホを満充電/離れて暮らす高齢の家族に連絡
- 半日前(レベル3 高齢者等避難の頃):キキクルを確認/高齢者・乳幼児がいる家庭は避難を開始/ペットの避難準備
- 数時間前(レベル4 避難指示の頃):全員で立退き避難、または2階以上へ/ブレーカー・ガスの元栓/近所に声をかける
- 直前・状況が悪化したら:外に出ない。建物の上階、斜面と反対側の部屋へ/171・web171で安否を共有
家族構成に合わせて「前倒し」する
高齢者、乳幼児、妊娠中の家族、障害のある家族、ペットがいる場合は、各段階を半日〜1日ぶん前倒しします。車がない家庭や一人暮らしの高齢者は、近所や自治会と「誰が声をかけるか」を事前に決めておきましょう。
書式と見直し
国土交通省や多くの自治体が、記入シートや作成ツール(「逃げキッド」など)を公開しています。手書きのメモでも十分です。家族で一緒に作り、冷蔵庫や玄関に貼っておきましょう。年に1回、台風シーズンの前に見直します。引っ越しや家族構成の変化があれば作り直してください。
記入例:3日前から当日までを一枚に
言葉だけだと分かりにくいので、簡単な記入例をあげます。台風が3日後に接近するという予報が出た場面を想定します。
- 3日前(日曜の夜):父=進路と早期注意情報を確認し家族に共有/母=買い物リストを作成、モバイルバッテリーの充電を開始
- 2日前:父=車を満タンにして高い場所の駐車場へ/母=常備薬・お薬手帳・保険証・通帳を一つのポーチにまとめる
- 1日前:全員=ベランダの植木鉢を室内へ/子=自分のリュックに着替えとお菓子を入れる/離れて暮らす祖母に電話し「あす昼に迎えに行く」と伝える
- 当日午前(高齢者等避難が出たら):父=祖母を車で避難所へ送る/母と子=それぞれのリュックを持って徒歩で避難所へ
ここまで具体的に書いておくと、当日「誰が祖母を迎えに行くのか」で慌てずにすみます。
よくあるつまずきと対策
- 避難先を一つしか決めていない:洪水と土砂災害では安全な場所が違います。災害の種類ごとに避難先を書き分けます
- 情報の名前が分からず動けない:警報の名前を全部覚える必要はありません。「キキクルが紫になった」「高齢者等避難が出た」など、自分が動くきっかけを1〜2個決めておけば十分です
- 作って満足してしまう:年に1回、台風シーズンの前に読み返す日を決めておきます。防災の日(9月1日)の前後がおすすめです
紘一のひとこと:
私は毎年8月の終わりに、家族のマイ・タイムラインを一度見直します。地味な作業ですが、実際に台風が近づいたとき、「次は何をする」を紙が教えてくれるので、慌てずにすみます。完璧なものを作ろうとしなくて大丈夫です。「3日前・1日前・当日に、誰が何をするか」を書き出すだけでも、逃げ遅れの多くは防げます。
まとめ
- マイ・タイムラインは、台風接近から避難までの行動を家族ごとに時系列で書き出す計画
- 作る前に「自宅のリスク」「避難先」「避難経路」の3つをハザードマップで確認
- 3日前→2日前→1日前→半日前→数時間前、と警戒レベルに沿って行動を割り付ける
- 高齢者・乳幼児・ペットがいる家庭は各段階を前倒し。年1回、台風期の前に見直す
- 秋雨前線と秋台風はなぜ危険か―9〜10月に大雨・暴風が増える仕組み
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- 土砂災害の前兆と「土砂災害危険警報」―秋雨・台風期に増えるがけ崩れ・土石流
参考・出典:
国土交通省「マイ・タイムライン」
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
内閣府「避難情報に関するガイドライン」
最終更新日: 2026年9月2日
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