停電は、地震・台風・大雪・落雷のあとだけでなく、送電設備の事故や猛暑時の需給ひっ迫でも起こります。数分で復旧することもあれば、数日続くこともあります。最初の対応を知っているかどうかで、その後の不便さと危険がかなり変わります。
私が停電で毎回いちばん気をつけているのは、「通電火災」を起こさないことです。ここでは、停電したときに最初にやることを手順で整理します。
この記事の結論(最初の5分でやること)
- ① わが家だけか、地域全体かを確認する(分電盤・ブレーカーと、外の街灯・近所の明かり)
- ② 使用中だった電化製品のスイッチを切り、プラグを抜く(復電時の火災=通電火災を防ぐ)
- ③ 明かりを確保する(懐中電灯・ランタン。ろうそくは使わない)
STEP1 わが家だけの停電か、地域の停電かを見分ける
- 分電盤を見る。アンペアブレーカー(大元)や漏電ブレーカーが落ちている→使いすぎか漏電。安全ブレーカー(各部屋)だけが落ちている→その回路の使いすぎ
- 外を見て、街灯・信号・近所の家の明かりが消えているか確認する。消えていれば地域全体の停電
- 地域全体なら、送配電会社の「停電情報」サイト・アプリで範囲と復旧見込みを確認する(東京電力パワーグリッド、中部電力パワーグリッドなど、お住まいのエリアの会社)
- 電柱から自宅への引込線が切れている・焦げている・電線が垂れているのを見つけたら、絶対に触らず、送配電会社へ連絡する
STEP2 通電火災を防ぐ(最重要)
停電中に電気ストーブや電気こんろのスイッチが入ったままだと、復電したとき、周囲に燃えるものがあれば火災につながります。過去の大地震では、火災の多くが電気関係とされています。
- 停電した瞬間に使っていた暖房器具・調理家電・アイロン・ドライヤーなどは、スイッチを切ってプラグを抜く
- 家を離れて避難するときは、分電盤の大元のブレーカーを落としてから出る
- 地震にともなう停電に備え、揺れを感知して自動で電気を止める「感震ブレーカー」の設置も検討する
STEP3 明かりを確保する
- 懐中電灯、LEDランタン、ヘッドライトを使う。ランタンは1つを家族の集まる部屋に、懐中電灯は1人1本が目安
- ろうそくや裸火は使わない。停電時は暗くて家具にぶつかりやすく、余震や停電の混乱で倒して火災になる例が多いためです
- スマホのライトは非常用。電池を消耗するので、ランタン代わりに使い続けない
- ランタンの上にレジ袋や白い袋をかぶせると、光が拡散して部屋全体が明るくなります
STEP4 情報を取る(スマホの電池を守りながら)
- 乾電池式・手回しラジオでNHKや地元局を聞く。停電の原因・範囲・復旧見込み・給水や避難所の情報が得られます
- スマホは省電力モードにし、画面の明るさを下げ、使わないアプリを閉じる。動画・SNSの見過ぎに注意
- 基地局の非常用電源にも限りがあります。通信は「短く・要件だけ」。安否は「171」やSNSの一斉投稿で
- 停電情報は送配電会社の公式サイト・公式SNSを一次情報にする
STEP5 冷蔵庫・冷凍庫は「開けない」
- 停電したら、冷蔵庫・冷凍庫のドアをできるだけ開けない。開けなければ、冷蔵室は数時間、冷凍室はそれより長く冷たさを保つといわれます(機種・室温・詰め方で差があります)
- 長引きそうなら、傷みやすいもの(生鮮食品、作り置き)から先に食べる
- 保冷剤や凍らせたペットボトルを冷蔵室へ移すと、庫内の温度上昇を抑えられます
- 肉・魚・乳製品などは、常温に長く置いたら思い切って処分する。「もったいない」で食中毒を起こさない
STEP6 スマホ・通信機器の電源を確保する
- 満充電のモバイルバッテリーから充電する。家族ぶんを1つにまとめて管理
- 車がある家庭は、シガーソケット(USBアダプタ)で充電できる。ただし換気の悪い場所・車庫内でのアイドリングは一酸化炭素中毒の危険があるので避ける
- 自治体が開設する充電スポット(避難所、公共施設、携帯ショップ)も活用する
- ポータブル電源があれば、スマホ・ラジオ・小型扇風機・電気毛布などに使える。電子レンジ・ドライヤーなど消費電力の大きい家電は容量を超えるので注意
STEP7 医療機器・集合住宅の設備に注意する
- 在宅酸素・人工呼吸器・たん吸引器などを使っている家庭は、停電時の予備電源(内蔵バッテリー、予備ボンベ、無停電電源)の使用可能時間を平時に確認しておく。多くの送配電会社には在宅医療機器の利用者向けの事前登録制度があるので登録し、困ったときは主治医・機器業者・消防へ早めに連絡する
- 電動ベッド・電動車いすは手動切替の方法を家族で共有しておく
- マンションは停電でエレベーター停止・給水ポンプ停止(断水)・オートロック解除・機械式駐車場の停止が同時に起こりうる。断水したときの対応もあわせて確認を
- エレベーターに閉じ込められたら、行き先ボタン全部と「非常呼び出しボタン」を押し、通話で状況を伝えて救助を待つ。無理にこじ開けない
暑さ・寒さへの対応
- 夏:エアコンが使えないと室温が急に上がります。窓を開けて風を通す、濡らしたタオルと保冷剤で首・わきを冷やす、水分と塩分をこまめに。高齢者・乳幼児は特に注意し、涼しい公共施設へ移動することも考える
- 冬:石油ストーブ(電池点火式)やカセットガスストーブが役立つ。ただし換気を必ず行い、一酸化炭素中毒を防ぐ。着られるだけ重ね着し、湯たんぽ・カイロ・毛布で体幹を温める
復旧したときの注意
- 復電したら、家電の焦げくささ・異音・煙がないかを確認する。異常があればブレーカーを落として使用をやめる
- ブレーカーを戻すときは、大元→各部屋の順で、1回路ずつ上げる。一度に戻すと過電流で再び落ちることがあります
- 水槽のポンプ、給湯器、Wi-Fiルーターなどは再起動が必要な場合があります
- 停電が原因で冷蔵庫の中身が傷んでいないか、においと見た目で最終確認する
印刷用チェックリスト
- □ 分電盤を確認(大元/漏電/各部屋のどれが落ちているか)
- □ 外の街灯・近所の明かりを見て、地域停電かを判断
- □ 使用中だった暖房・調理家電のスイッチを切りプラグを抜く
- □ 懐中電灯・ランタンを点ける(ろうそくは使わない)
- □ 乾電池・手回しラジオで情報収集/スマホは省電力モード
- □ 冷蔵庫・冷凍庫は開けない
- □ モバイルバッテリー・車・充電スポットで通信機器を充電
- □ 医療機器の予備電源を確認/マンションは断水にも備える
- □ 避難時は大元のブレーカーを落とす
- □ 復旧後:家電の異常を確認し、1回路ずつブレーカーを戻す
紘一のひとこと:
停電で怖いのは、暗さそのものより「復電したときの火災」と「情報が入らない不安」です。私は枕元に必ずヘッドライトと乾電池ラジオを置いています。停電したらまず頭に付ける明かりを確保し、両手を空けてブレーカーと家電を見て回る。この順番を家族で一度練習しておくと、いざというとき慌てません。
よくある質問
冷蔵庫の中身はどのくらいもちますか?
ドアを開けなければ、冷蔵室はおおむね2〜3時間、冷凍室はそれより長く冷たさを保つとされています。ただし機種、室温、庫内の詰まり具合で差が大きく、目安と考えてください。停電が長引きそうなら傷みやすいものから食べ、肉・魚・乳製品を常温に長く置いたときは処分します。
スマホの電池がなくなりそうです。どうすればいいですか?
省電力モードにして画面を暗くし、使わないアプリと位置情報をオフにします。連絡は通話より消費の少ないメッセージで短く。充電はモバイルバッテリー、車のシガーソケット(換気に注意)、自治体や携帯ショップの充電スポットを使います。1台を情報・連絡用に温存し、家族の他の端末は電源を切っておくと長持ちします。
オール電化の家です。停電したら何もできませんか?
調理はカセットコンロ、暖房は電池点火式の石油ストーブやカセットガスストーブ、給湯はやかんでお湯を沸かす、で当面はしのげます。エコキュートのタンクには水がたまっているので、断水していなければ生活用水として使えます(飲用は避け、やむを得ず飲むなら煮沸を)。停電時にどこまで使えるか、平時に取扱説明書で確認しておくと安心です。
ポータブル電源があれば家電は動きますか?
スマホ、ラジオ、ノートパソコン、小型扇風機、電気毛布、一部の医療機器など消費電力の小さいものは動かせます。一方、電子レンジ、ドライヤー、電気ケトル、エアコンなどは定格出力を超えることが多く、使えないか、使えても短時間です。製品の定格出力(W)と、使いたい家電の消費電力を事前に照らし合わせておきましょう。
エレベーターに閉じ込められたらどうすればいいですか?
まず落ち着いて、行き先階のボタンをすべて押します(最寄り階で止まる機能が働くことがあります)。止まらなければ非常用の呼び出しボタンを押し続け、通話で人数や体調を伝えて救助を待ちます。扉を無理にこじ開けたり天井から出ようとしたりせず、換気は確保されているので、体力を使わず待つのが安全です。
まとめ
- 最初の5分:わが家だけか地域かを確認 → 使用中家電のプラグを抜く → 明かりを確保
- 通電火災を防ぐのが最重要。避難時は大元のブレーカーを落とす
- 情報は乾電池・手回しラジオと送配電会社の停電情報。スマホは省電力で温存
- 冷蔵庫は開けない。通信機器はモバイルバッテリー・車・充電スポットで確保
- 医療機器の予備電源、マンションの断水・エレベーター停止にも注意
- 復旧後は家電の異常を確認し、ブレーカーは1回路ずつ戻す
参考・出典:
資源エネルギー庁「電力の安定供給・需給対策」
総務省消防庁「感震ブレーカー」
内閣府「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」
東京電力パワーグリッド「停電情報」(お住まいのエリアの送配電会社を参照)
最終更新日: 2026年9月6日
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この記事は「停電への備えと発生時の行動 完全ガイド」の一部です。明かり・電源の備えから通電火災の防止まで1ページでまとめて確認できます。
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