【完全ガイド】帰宅困難者になる前に知っておくべき7つの対策法|徒歩帰宅から外出先まで災害時の安全行動術

いつもと変わらない平穏な朝、あなたは家族に「いってきます」と言って家を出ます。でも、もし外出先で突然大きな地震が起きたらどうでしょう?電車が止まり、道路が混乱し、家族のもとへ帰れなくなったとしたら…。

こんにちは。今回は災害大国日本で暮らす私たちにとって、誰にでも起こりうる「帰宅困難者」問題について詳しく解説していきます。特に普段家族を守る立場にいる主婦の皆さんにとって、外出先で災害に遭った時の対処法は知っておくべき重要な知識です。

Table of Contents

帰宅困難者の現実と統計から見る備えの必要性

帰宅困難者とは何か?定義と分類

帰宅困難者とは、勤務先や外出先等で地震などの自然災害に遭遇し、自宅への帰還が困難になった者を指す用語です。この問題は東日本大震災以降、より現実的な脅威として認識されるようになりました。

帰宅困難者には「帰宅断念者」と「遠距離徒歩帰宅者」の両方が含まれます。つまり、遠すぎて帰宅を諦める人と、歩いてでも帰ろうとする人の両方を指しているのです。

内閣府中央防災会議では、帰宅距離10キロメートル以内は全員「帰宅可能」、10キロメートルを超えると「帰宅困難者」が現れ、20キロメートルまで1キロメートルごとに10%ずつ増加、20キロメートル以上は全員「帰宅困難」と定義しています。

想定される帰宅困難者数の衝撃的な現実

各地域での帰宅困難者の想定数を見ると、この問題の深刻さがよく分かります。

京都市では、大規模地震等の災害発生時に約37万人が帰宅困難者になると想定されています。千葉県では千葉県北西部直下地震が発生した場合、最大で約147万人の帰宅困難者が発生すると予測しています。

これらの数字は決して他人事ではありません。あなたも、あなたの家族も、いつかはこの数字の一部になる可能性があるのです。

2024年最新の対策ガイドライン改定のポイント

2024年7月に内閣府の「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策ガイドライン」が初めて改定されました。今回の改定では「災害時の情報伝達の雛形となる情報伝達シナリオ」と「一斉帰宅抑制後の分散帰宅」の2点が新たに追加されました。

この改定により、より実効性の高い対策が求められるようになりました。私たち個人レベルでの備えも、この最新のガイドラインに沿って見直していく必要があります。

一斉帰宅抑制の基本原則「むやみに移動を開始しない」

なぜ一斉帰宅が危険なのか

帰宅困難者の徒歩等による一斉帰宅が起こると応急活動に支障をきたすため、災害時には一斉帰宅抑制対策を行い帰宅しないよう呼びかけています。

これは単なる呼びかけではありません。災害発生直後に多くの人が一斉に徒歩で帰宅を始めると、沿道の火災や落下物、集団転倒など思わぬ事故に巻き込まれる恐れがあります。

つまり、家族のことを心配して急いで帰ろうとする行為が、かえって危険を招いてしまう可能性があるのです。

3日間待機の重要性

企業では「3日間待機」「一斉帰宅抑制」を基本方針としています。これは、災害直後の混乱が落ち着き、安全な帰宅ルートが確保されるまでの期間として設定されています。

家族を心配する気持ちは痛いほど分かりますが、安全な帰宅のためには「待つ勇気」も必要なのです。

安全な場所での待機場所の確認

通勤や通学、買い物などで市内中心部にいた時に大規模な地震災害などに遭遇した場合、周囲の混乱が落ち着くまで、まずは学校や職場などの安全な場所に留まることを検討しましょう。

多くの自治体では、緊急避難広場や一時滞在施設を確保しています。事前にこれらの施設の場所を把握しておくことで、いざという時の選択肢を増やすことができます。

徒歩帰宅を考える前に知っておくべき現実

歩行速度の現実的な計算

徒歩帰宅を検討する際、多くの人が甘く見がちなのが実際の歩行速度です。

人の歩行速度は平均4km/hといわれるが、それは良い天気で休みの日に運動公園のような歩きやすい場所を、歩きやすい格好で、自分のペースで歩いた場合の話です。

震災時における徒歩帰宅の平均時速は2km/h程度と考えたほうが良いでしょう。つまり、20キロの距離を歩くには約10時間もかかる計算になります。

履物による歩行距離の大きな差

帰宅難民の会の調査では、革靴を履いた男性では15キロほど歩くと足が豆だらけになってしまい、ヒールを履いた女性では4キロ歩くのが限界だとされています。

これは想像以上に厳しい現実です。普段のファッションのままで長距離を歩くことがいかに困難かがよく分かります。

体力的・時間的な限界の認識

片道でも2時間半で帰宅できないなら、徒歩帰宅は控えた方が賢明です。また、東京都は午後6時に大地震が発生した場合、自宅までの距離が20キロを超えると「翌朝までの徒歩帰宅は困難」と想定しています。

これらの数字を踏まえて、自分の職場から自宅までの距離を改めて確認してみてください。想像していたより長距離ではありませんか?

安全な徒歩帰宅のための7つの心得

やむを得ず徒歩帰宅をする場合の心得をご紹介します。

1. 正確な情報収集の重要性

常に危険が潜んでいるので、徒歩帰宅を開始する前には、携帯電話やラジオを使って、正しい情報を入手しましょう。

情報源は複数確保することが重要です。テレビ、ラジオ、インターネット、行政からの情報など、様々なチャンネルから情報を得るようにしてください。

2. 適切な装備の準備

長距離を歩くには、革靴やヒールの靴では疲れてしまうので、スニーカーを職場などに用意しておきましょう。

道路には倒壊した建物のガレキ等があるので、つまずいて転ぶことが想定されます。安全のため両手をあけておくためにリュックを用意しておきましょう。

3. 事前のルート確認

普段から帰宅ルートを確認しておき、災害時に通行止めになったり、混乱が発生する恐れが高いルートは出来るだけ避けましょう。

複数のルートを想定しておくことで、臨機応変に対応できます。また、実際に歩いてみることで、所要時間や休憩ポイントを把握することができます。

4. 時間帯を考慮した判断

夜は特に足下が見えにくく危険です。特に自宅まで遠距離の人は時間帯もよく考えて行動しましょう。

夜間の徒歩帰宅は非常にリスクが高いため、可能な限り明るい時間帯での移動を心がけるか、安全な場所での待機を検討してください。

5. 災害時帰宅支援ステーションの活用

九都県市では、コンビニエンスストアやガソリンスタンドと、トイレや水道水の提供、情報提供等の支援を行ってもらうための協定を結んでいます。

災害時帰宅支援ステーションでは、水道水の提供、トイレの使用、道路に関する情報などの利用が可能です。これらの施設には専用のステッカーが掲示されているので、事前に確認しておくことをおすすめします。

6. 集団行動の重要性

徒歩で帰宅するのはあなた一人ではありません。お互いに助け合って行動しましょう。

一人での行動よりも、同じ方向に向かう人たちとグループを作ることで、安全性が向上し、情報共有もできます。

7. 地域への協力

ご近所も同じように災害にあわれています。お互い協力し合って、可能な限り救出救護の活動に参加しましょう。

自分の帰宅だけでなく、地域の一員として可能な範囲で協力することも大切な心得の一つです。

外出先での災害対策:防災ポーチの作り方と活用法

防災ポーチの基本的な考え方

最近は外出時に被災した場合の備えとして「防災ポーチ」を持ち歩くアクションも広がっています。

家には防災リュックが備えてあっても、外出中に被災したらどうでしょう?事態が落ち着くまでそこで待機しなければならなかったら?この問いに対する答えが防災ポーチです。

防災ポーチに入れるべき必須アイテム

#### 情報収集・連絡手段関連

モバイルバッテリーと充電ケーブル: 外出先で被災した場合、街には充電スポットがたくさんありますが、停電していなければ電源タップを使って再び充電できます

小銭(10円玉、100円玉): 自動販売機や公衆電話を使うとき用に、普段のお財布とは別に特に10円玉と100円玉を数枚用意しておくと安心です

家族の連絡先メモ: スマホが使えなくなった場合に備えて、紙に重要な連絡先を書いておく

#### 身体保護・安全確保関連

使い捨てマスク: 粉塵対策や感染症予防のため

軍手または薄手の手袋: がれきの撤去や手の保護のため

簡易ライト(LEDライト): 夜間の移動や停電時の安全確保

#### 生活支援関連

エコバッグ: 様々な用途に活用しやすい取っ手付きタイプのビニール袋として活用可能

除菌ウェットティッシュ: 手指の清潔保持や簡易的な清拭用

絆創膏: 小さな怪我の応急処置用

常備薬: 個人の持病薬や痛み止めなど

#### 記録・情報関連

油性マジック: 水でにじまない油性インクのものが◎

小さなメモ帳: 情報記録や連絡用

防災ポーチの管理と更新のコツ

防災ポーチは作って終わりではありません。定期的なメンテナンスが重要です。

月1回のチェック: 電池残量、薬の使用期限、季節に応じたアイテムの見直し

軽量化の追求: 毎日持ち歩くものなので、本当に必要なものだけに絞る

季節対応: 夏は冷却グッズ、冬は保温グッズを追加検討

職場や学校での帰宅困難者対策

企業に求められる対策と個人の権利

東京都では、2013年4月1日に東京都帰宅困難者対策条例を施行し、事業者には従業員3日分の食料・水の備蓄を義務付けています。

これは法的な義務であり、従業員である私たちには職場での安全確保を求める権利があります。自分の職場の備蓄状況や避難計画について、遠慮なく確認してみてください。

家族間での連絡・集合計画の策定

家族で、発災時の安否確認の方法や集合場所を話し合っておきましょう。

具体的には以下の点を家族で話し合っておくことが重要です:

1. 主要な連絡手段: 災害用伝言ダイヤル171の使い方、SNSでの連絡方法

2. 集合場所の決定: 第一候補、第二候補の避難場所

3. 役割分担: 誰が子どもの迎えに行くか、高齢者のサポートをするか

4. 重要書類の保管場所: 保険証、通帳、現金などの保管場所の共有

学校・幼稚園・保育園との連携

お子さんがいる家庭では、教育施設との事前の情報共有が不可欠です。

お迎えルールの確認: 災害時の引き渡し方法や身元確認の手順

代理お迎え人の登録: 自分が帰宅困難者になった場合の代理人

学校の備蓄状況: 子どもたちがどの程度の期間、学校に留まることができるか

交通手段別の対策と注意点

電車通勤の場合

電車は最も帰宅困難者が発生しやすい交通手段です。

駅での行動指針:

– 駅員の指示に従い、慌てて駅から出ようとしない

– JR仙台駅周辺などにおいて多くの帰宅困難者が発生し、最寄りの避難所に殺到するなどの混乱が生じましたという事例を踏まえ、群集心理に流されないよう注意

運行情報の確認方法:

– 鉄道会社の公式アプリやSNSアカウントをフォロー

– 複数の情報源から運行状況を確認

車通勤の場合

東京都では、震度6弱以上の震災が都内で発生した場合は、警視庁によって車両の全面通行止等の強力な交通規制が行われることが条例で定められています。

車での対策:

– 車内に徒歩帰宅用の装備を常備

– ガソリンは常に半分以上キープ

– 車載ラジオでの情報収集手段の確保

自転車・バイク通勤の場合

代表交通手段が徒歩・自転車の場合は、全員「帰宅可能」とされていますが、道路状況による危険性は十分考慮する必要があります。

二輪車での注意点:

– 道路の亀裂や障害物に注意

– ヘルメットの着用(自転車も含む)

– パンク修理キットの携行

季節・時間帯別の特別な対策

夏季の対策

熱中症対策:

– 水分補給の重要性がより高まる

– 塩分補給も忘れずに

– 日陰での休憩を積極的に取る

夏特有のリスク:

– 停電による熱中症リスクの増大

– 食中毒の危険性

– 汗による脱水症状

冬季の対策

防寒対策:

– 使い捨てカイロの携行

– 防寒具の準備

– 体温保持の方法の理解

冬特有のリスク:

– 凍結による転倒事故

– 暖房器具使用不能による低体温症

– 雪による交通遮断

夜間の対策

夏の炎天下や冬の停電時の夜に帰宅する場合、徒歩帰宅することで逆に身の危険があったり二次被害が出てしまいそうな場合には、徒歩帰宅せず職場や近くの避難場所で待機し、公共交通機関が動くのを待つのが安全で安心です。

夜間特有のリスク:

– 視界不良による事故

– 治安の悪化

– 救助活動の困難さ

実際の災害体験談から学ぶ教訓

東日本大震災の教訓

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の際には、首都圏を中心に約10万人の帰宅困難者が続出する事態となりました。

この時の体験者の声として多く聞かれたのは:

– 「スニーカーを職場に置いていればよかった」

– 「携帯電話のバッテリーがすぐになくなった」

– 「家族との連絡が取れず、不安で仕方なかった」

– 「コンビニでは必需品がすぐに売り切れた」

近年の災害事例

2024年5月22日に山口県で行われたイベントでは、交通渋滞により新幹線の最終電車への乗り遅れや移動手段がなくなった人が続出し、少なくとも1000人の帰宅困難者が翌朝6時の始発まで新山口駅で過ごす事態となりました。

この事例からは、自然災害以外でも帰宅困難者状況は発生すること、そして事前の情報収集と準備の重要性が改めて浮き彫りになりました。

まとめ:今すぐ始められる帰宅困難者対策

帰宅困難者問題は決して他人事ではありません。むしろ、都市部で生活している私たちにとって、いつ直面してもおかしくない現実的な課題です。

最も重要なのは「むやみに移動を開始しない」という基本原則を理解し、家族で共有することです。愛する家族のことを思う気持ちが強いほど、冷静な判断が必要になります。

今日から始められる対策として、以下の行動をおすすめします:

1. 職場に簡易的な防災用品を用意する(スニーカー、水、食料など)

2. 防災ポーチを作成し、外出時に携行する習慣をつける

3. 家族と帰宅困難者になった場合の行動計画を話し合う

4. 職場から自宅までの距離を正確に測り、複数の帰宅ルートを確認する

5. 災害時帰宅支援ステーションの場所を事前にチェックする

災害は私たちの都合を考えてはくれません。しかし、事前の準備と正しい知識があれば、混乱の中でも冷静に行動し、家族の安全を守ることができます。

「備えあれば患いなし」という言葉がありますが、帰宅困難者対策においても、この言葉の重要性を改めて感じています。今できることから、一つずつ始めてみませんか?あなたと家族の安全のために、今この瞬間から行動を起こしましょう。

災害時の混乱の中で、あなたが冷静に判断し、安全に家族のもとへ帰れるように。そして、地域の一員として、困っている人たちを助けることができるように。この記事が、そんなあなたの一助となれば幸いです。