【完全保存版】家族を守る避難計画の作り方|いつ・どこに・どう避難するかの判断基準と実践ガイド

はじめに|なぜ事前の避難計画が重要なのか

こんにちは!災害が多い日本に住む私たちにとって、「避難」は他人事ではありません。特に家族を守る立場にある方なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

「もし今、大きな地震が来たら、家族はどこに避難すればいいの?」

「避難のタイミングはいつ?どんな基準で判断すればいいの?」

そんな疑問を抱えている方も多いはず。実は、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、自らの判断で避難行動をとることが基本方針とされています。つまり、私たち一人ひとりが事前に避難計画を立てておくことが、家族の命を守る第一歩なのです。

今回は、避難のタイミングから避難経路の確認、ハザードマップの活用方法まで、家族を守るための避難計画の作り方を詳しくお伝えします。いざという時に慌てず行動できるよう、一緒に準備していきましょう。

避難タイミングの判断基準|5段階の警戒レベルを理解しよう

避難で最も重要なのは「いつ避難するか」のタイミングです。災害発生の危険度と住民の方々がとるべき行動を5段階の「警戒レベル」を用いて情報提供されています。

警戒レベル1:災害への心構えを高める

気象庁から警戒レベル1「早期注意情報」が出た場合には最新の防災気象情報などを確認するなど、災害への⼼構えを⾼めてください。この段階では、天気予報をこまめにチェックし、防災用品の確認をしておきましょう。

警戒レベル2:避難の準備を始める

注意報が発表されたら、ハザードマップで避難場所と避難経路を再確認し、非常持ち出し品を準備しておきます。特に小さなお子さんがいる家庭では、この段階で避難の準備を整えることが大切です。

警戒レベル3:高齢者等避難開始

「警戒レベル3」が発令されたら、高齢のかたや障害のあるかたなど避難に時間のかかるかたやその支援者のかたは危険な場所から避難し、それ以外の人も、ふだんの行動を見合わせたり避難の準備をしたり、危険を感じたら自主的に避難するタイミングです。

警戒レベル4:避難指示(全員避難)

「警戒レベル4」が発令されたら、対象となる地域住民の方々は危険な場所から全員避難する必要があります。この段階では、迷わず避難所に向かいましょう。

警戒レベル5:緊急安全確保

警戒レベル5は既に災害が発生・切迫しており命の危険がある状態であるとともに、必ず発令される情報ではないことから、警戒レベル5を待つことなく、警戒レベル4までに避難することが必要です。

ハザードマップの活用方法|自宅の災害リスクを正確に把握

避難計画を立てる前に、まずは自宅周辺の災害リスクを正確に把握することが重要です。ハザードマップとは、自然災害が予測される区域や避難場所、避難経路など住民が自主的に避難するために必要な防災情報を分かりやすく地図上に示したものです。

ハザードマップの入手方法

ハザードマップは市町村において作成・配布しています。ハザードマップをご覧になりたい場合は、お住まいの市町村にお問い合わせ願います。また、国土交通省のポータルサイトで集約されているため、インターネットで簡単に確認できます。

重ねるハザードマップの活用

国土交通省が作成した「重ねるハザードマップ」では、洪水・土砂災害・津波の災害リスクや、道路防災情報を確認できます。複数の災害リスクを同時に確認できるため、より詳細な避難計画を立てることができます。

ハザードマップの見方のポイント

自身が居住する地域や、勤め先・学校など、頻繁に立ち寄るエリアの災害リスクの把握に活用できます。特に以下の点を重点的に確認しましょう:

1. 自宅の危険度:浸水深や土砂災害の危険度

2. 避難場所の位置:最寄りの避難所とその種類

3. 避難経路の安全性:道路の冠水リスクや土砂災害の危険性

4. 家族の行動範囲:学校や職場周辺のリスク

避難経路の確認と複数ルートの設定

ハザードマップで避難場所を確認したら、次は安全な避難経路を設定します。ハザードマップで、災害の種類に応じた避難場所と安全な避難ルートを把握しておくことで、いざというときに慌てず行動でき、結果として自身の身を守ることにつながります。

避難経路設定のポイント

1. 複数ルートの確保:メインルートが使えない場合に備えて、最低3つのルートを設定しましょう。

2. 実際に歩いて確認:自宅や学校、職場周辺を実際に歩き、災害時の危険箇所や役立つ施設を把握し、自分用の防災マップを作っておくことが大切です。

3. 時間帯別の検討:昼間と夜間、平日と休日では道路状況が異なります。様々な時間帯を想定して経路を検討しましょう。

4. 道路防災情報の確認:ハザードマップには、道路防災情報を提供しているものもあります。土砂崩れや冠水により、道路の寸断が予想される箇所をあらかじめ知ることができるため、これらの情報も活用しましょう。

避難経路の危険箇所チェック

避難経路を設定する際は、以下の危険箇所を避けるようにしましょう:

ブロック塀や石垣:地震時に倒壊の危険性

看板や自動販売機:強風時に倒れる可能性

アンダーパス:冠水時に通行不能

土砂災害警戒区域:大雨時に土砂崩れの危険性

液状化の危険性がある地域:地震時に道路の陥没や隆起

家族避難計画の作成|具体的な手順とポイント

避難計画は家族全員で作成し、定期的に見直すことが重要です。家族がばらばらにならないように、全員が待ち合わせの場所(避難場所)を確認して、連絡手段を複数持つようにしましょう。

避難計画作成の7つのステップ

ステップ1:家族会議の開催

地震・火災・風水害に備えて、家族で以下のような話し合いをしておきましょう。全員が参加できる時間を設けて、しっかりと話し合いましょう。

ステップ2:災害想定の確認

居住地域で想定される災害(地震、洪水、土砂災害等)を確認し、それぞれの災害に対する避難場所と避難経路を決めます。

ステップ3:避難場所の決定

いろいろな災害、発生時間などを想定し、優先順位をつけて、3箇所を決めることが推奨されています。

ステップ4:避難経路の設定

各避難場所への安全な経路を3つ以上設定し、実際に歩いて確認します。

ステップ5:連絡方法の決定

災害時は回線がつながりにくくなるため、連絡がとれない場合があります。安否確認には、「災害用伝言ダイヤル(171)」、携帯電話のインターネットサービスを利用した「災害用伝言板」などのサービスを利用しましょう。

ステップ6:役割分担の決定

家族の中で誰が何をするかを明確にしておきます。例えば、「お母さんは避難用品の準備、お父さんは安全確認、お兄ちゃんは弟の面倒を見る」といった具合です。

ステップ7:避難計画書の作成

家族全員が持ち歩いています防災カードを作成し、いつでも確認できるようにしましょう。

避難計画に含めるべき項目

避難計画には以下の項目を記載しましょう:

1. 家族の基本情報:名前、年齢、血液型、アレルギー等

2. 避難場所一覧:災害別の避難場所(最低3箇所)

3. 避難経路図:地図付きで複数ルートを記載

4. 緊急連絡先:家族、親戚、職場、学校等

5. 集合場所:家族がバラバラになった時の集合場所

6. 非常持ち出し品リスト:必需品と置き場所

7. 重要書類の保管場所:保険証、通帳、印鑑等

実践的な避難訓練の重要性

避難計画を作成したら、定期的に訓練を行うことが大切です。日頃から、災害が発生したらどのように行動すべきかをイメージし、実際に身体を動かして身を守る行動を練習してみることは非常に有効です。

家族での避難訓練のポイント

1. 定期的な実施

月1回程度、家族で避難訓練を実施しましょう。曜日や時間を変えて、様々な状況を想定します。

2. 実際の避難経路を歩く

できれば休日などを利用し、みんなで避難経路などの下見をしておくことで、実際の距離感や所要時間を把握できます。

3. 夜間訓練も実施

災害は昼夜を問わず発生するため、夜間の避難訓練も重要です。懐中電灯の使用方法や、暗闇での避難経路確認を行いましょう。

4. 地域の防災訓練への参加

地域の防災訓練に参加して、それぞれの場所で必要となる防災の知恵や備えを学びましょう。

避難判断を支援する情報源と活用方法

正確な避難判断のためには、信頼できる情報源を把握しておくことが重要です。市町村から避難情報が発令された場合には、テレビやラジオ、インターネットなどのほか、防災行政無線や広報車などで伝えられます。

主な情報源

1. 公式情報

– 気象庁の防災気象情報

– 市町村の避難情報

– 防災行政無線

2. メディア情報

– テレビ、ラジオの緊急放送

– 緊急速報メール

– 防災アプリ

3. 現地情報

– キキクル(危険度分布)など、1~5kmのメッシュ単位の危険度が気象庁や都道府県のホームページで確認できます

– 地域の防災情報

情報の活用方法

情報を入手したら、以下の手順で避難判断を行いましょう:

1. 複数情報源での確認:一つの情報源だけでなく、複数の情報源で確認します

2. 警戒レベルの確認:発表された警戒レベルに応じて行動します

3. 現地状況の確認:実際の気象状況や周辺の様子を確認します

4. 家族との情報共有:入手した情報を家族全員で共有します

特殊な状況での避難計画

家族構成や生活状況により、特別な配慮が必要な場合があります。

高齢者や障害者がいる家庭

高齢者や障がい者など、一般の避難所生活において特別な配慮を必要とする方々を対象に開設される避難所があります。事前に福祉避難所の場所と利用方法を確認しておきましょう。

小さな子どもがいる家庭

こどもを預けている場合、情報が伝えられない、迎えができないことを想定して事前にルールを決めておくことが重要です。保育園や学校との連絡方法も確認しておきましょう。

ペットがいる家庭

ペット同伴避難が可能な避難所を事前に確認し、ペット用の避難用品も準備しておきましょう。

避難計画の見直しと更新

避難計画は「作って終わり」ではありません。ハザードマップは1~数年ごとに更新されて、適宜災害想定、被害想定や避難方法、ルートなどが更新されますため、定期的な見直しが必要です。

見直しのタイミング

年1回の定期見直し:家族構成や生活環境の変化を反映

ハザードマップ更新時:新しい情報に基づいて計画を更新

訓練後の見直し:訓練で見つかった問題点を改善

災害発生後:実際の災害から学んだ教訓を反映

見直しのポイント

1. 家族構成の変化:新しい家族メンバーの追加や高齢化への対応

2. 生活環境の変化:転居、転校、転職等による影響

3. インフラの変化:新しい道路や施設の建設

4. 法改正や制度変更:避難情報の変更等

まとめ|今日から始める避難計画

災害はいつ起こるか分からないからこそ、事前の備えが重要です。災害による被害をできるだけ少なくするためには、一人ひとりが自ら取り組む「自助」が基本となります。

家族を守るための避難計画作成は、決して難しいことではありません。今回ご紹介した内容を参考に、まずは以下のステップから始めてみましょう:

1. ハザードマップの確認:お住まいの地域の災害リスクを把握

2. 避難場所の確認:最寄りの避難所を3箇所以上確認

3. 避難経路の設定:複数ルートを設定し、実際に歩いて確認

4. 家族会議の開催:全員で避難計画を話し合う

5. 避難計画書の作成:携帯できる防災カードを作成

6. 定期的な訓練:月1回程度の避難訓練を実施

避難計画は「完璧」を目指すのではなく、「実用的」であることが大切です。家族の実情に合わせて、無理のない計画を立てることから始めましょう。そして、計画を作ったら定期的に見直し、常に最新の状態を保つことが重要です。

災害は防げませんが、被害は減らすことができます。あなたと大切な家族の命を守るため、今日から避難計画の作成を始めてみませんか?きっと「やっておいてよかった」と思える日が来るはずです。

私たちの住む日本は災害大国ですが、だからこそ世界に誇れる防災技術と知識を持っています。その知識を活かして、家族全員が安心して暮らせる備えを整えていきましょう。