前回の記事でエルニーニョ現象について、解説させていただきました。

今年の夏は、久々にこのエルニーニョ現象が既に発生している可能性が高いと、日本の気象庁も観測結果を出したわけですが、エルニーニョ現象について語られると、ほぼセットになって出てくる現象がラニーニャ現象です。

エルニーニョ現象と同時に、名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、この現象について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

今回は、このエルニーニョ現象と対を為す自然現象であるラニーニャ現象について解説していきます。

エルニーニョ現象とラニーニャ現象の語源

エルニーニョ」という言葉はスペイン語で『男の子』という意味があります。

しかし、この単語が使われる場合は、普通の男の子ではなく、幼子イエス・キリストを指していることが多いです。

この言葉は、ペルー北部の漁民たちが、クリスマス時期に現れる小規模な暖流を指す言葉として使っていたことが始まりです。

しかし、数年に一度現れる海水温の高くなる現象を表す言葉としても、「エルニーニョ」が使われるようになりました。

この現象はペルー沖で発生するもので、海水温が普通よりも高くなることで知られています。

一方、「ラニーニャ」はスペイン語で『女の子』という意味があります。

こちらは、海水温が低くなる現象を表す言葉で、エルニーニョの対義語とされています。

元々はエルニーニョに対をなすということで、アンチエルニーニョと呼ばれていたのですが、前述の通りエルニーニョという言葉がイエス・キリストを指す言葉であり、言葉の響きも良くないため、一般的には女の子を意味するラニーニャが使われるようになりました。

ラニーニャ現象のメカニズムとは?

ラニーニャ現象のメカニズムは複雑な気象現象によって説明されます。

ラニーニャ現象は、太平洋の海面温度が通常よりも低下することによって発生します。

この現象は、南米沿岸の海流であるペルー海流が強められたことによって引き起こされます。

ペルー海流が強まると、沿岸部に寒冷な海水が運ばれ、太平洋の表面温度が下がります。

これによって、気候が変化し、世界中の気象パターンに影響を与えることがあります。

具体的には、ラニーニャ現象によって太平洋の東部地域は寒冷化し、西部地域は温暖化します。

この温度差が大きくなると、東から西へ向かう強い風が生まれます。

これは熱帯雨林地帯や南部アメリカなど、世界中の地域に影響を与えます。

また、ラニーニャ現象はハリケーンや台風の発生にも影響を与えます。

東太平洋においては、この現象が起こるとハリケーンの活動が増加し、太平洋全体の気象パターンに変化が生じます。

総じて、ラニーニャ現象は世界中の気象を大きく影響する重要な現象であり、そのメカニズムは複雑に絡み合った気象現象によって説明されます。

ラニーニャ現象が日本にもたらす影響は?

出典:https://www.funasho-s.co.jp/proddetail/weather1/

夏季は暑い、冬季は厳しい気温

ラニーニャ現象が発生すると、日本を含む太平洋地域には気象変動が起こります。この現象によって、日本周辺の気温や天候が大きく影響を受けることが分かっています。

夏季には、太平洋高気圧が北方に広がりやすくなり、その影響で気温が高くなる傾向があります。

ラニーニャ現象がある年は、通常よりも高温で湿度も高いため、暑さに悩まされることが多いです。

熱中症などの健康被害にも注意が必要です。

一方で、冬季には西側に高気圧、東側に低気圧の気圧配置が強まることが多く、その影響で気温が低い寒冬となることが多いです。

ラニーニャ現象がある年は、冬場の寒波が厳しくなり、氷点下の気温を覚悟しなければならない日も出てきます。

交通機関の乱れや凍結による事故なども発生するため、事前の準備が必要です。

このように、ラニーニャ現象が起こると、日本周辺の気温・降水量・天候などに大きな変化が生じます。

発生時は普段からテレビや新聞、インターネットなどで情報を確認し、健康や生活に影響が出ないように、対策を講じることが大切です。

エルニーニョ・ラニーニャ現象が世界にもたらす影響は?

エルニーニョ・ラニーニャ現象とは、地球上の海洋が温度変化を起こし、大気の流れが変わることで世界中の気候や降雨量に影響を与え、干ばつ洪水などの異常気象を引き起こす現象です。

ただし、気象は複雑であり、異常気象がこれらの現象のみによるものかどうかは判断できません。

また、エルニーニョ・ラニーニャ現象がどのように発生するのかについては解明されておらず、未だ謎とされています。

エルニーニョ・ラニーニャ現象が発生すると、その影響は広範に及び、様々な異常気象が発生することが知られています。

例えば、フィリピンではエルニーニョ時には少雨で干ばつが発生し、ラニーニャ時には多雨で洪水が起こる傾向があります。

同様に、アフリカ南部、インドネシア、オーストラリア、ブラジル北部でもエルニーニョ時には干ばつが発生しやすく、ラニーニャ時には洪水が起こるようになります。

このように、エルニーニョ・ラニーニャ現象は、地球上の異常気象を引き起こす重要な要因の一つであり、世界の様々な地域に影響を与えることがあるため、その動向について常に注視が必要です。


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