2023年6月9日、日本の気象庁が2023年は既にエルニーニョ現象が発生しているとみられることを公表しました

日本にも影響を及ぼし、気象に敏感な日本に於いても、定期的に聞くこのエルニーニョ現象。

普段言葉自体は聞き慣れているものの、具体的にどのような現象なのか。

そして発生すると日本及び、世界でどのような影響が考えられるのかを詳細に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

そこで今回の記事は、2018年以来に発生したというエルニーニョ現象についての基礎知識、そしてどういった影響が考えられるのかをまとめてみました。

なぜエルニーニョ現象が起こる?深海の暖流に隠された謎に迫る

出典:https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino3.html

エルニーニョ現象とは、太平洋中央部で海水温度が急激に上昇する現象です。

この現象は、数年に一度発生し、気象変動や異常気象に大きな影響を与えます。

エルニーニョ現象が起こる原因は、太平洋中央部にある深海の暖流にあります。

この暖流は、地球上で最も大きな海流である北太平洋や南太平洋の海流と同じように、大地球循環によって形成されます。

しかし、この深海の暖流は、地球上に存在する他の海流とは異なり、非常に広い範囲で特定の形状を持ち、他の海流に比べて流速も遅めです。

この深海の暖流がエルニーニョ現象を引き起こすメカニズムは、まだ完全には解明されていませんが、一般的には次のような説明がされています。

太平洋中央部の海水温度が上昇すると、海面の気圧が急激に低下し、大気循環や気候の影響を及ぼす要因が生じます。

これによって、気圧の低い場所から気圧の高い場所に向かって風が吹こうとする力が生じます。

この風によって、北太平洋や南太平洋から深海の暖流に沿って流れている海水が、太平洋中央部に向かって大量に運ばれます。

そして、この海水が中心部で集中するために、海水温度が急激に上昇し、エルニーニョ現象が起こるのです。

しかし、この説明だけでは、深海の暖流がどのようにして形成され、エルニーニョ現象を引き起こすかという点についてはまだ不明な点が多く、今後も研究が進められることが予想されています。

世界規模での気候変動にも影響するエルニーニョ現象の実態

エルニーニョ現象は、太平洋の熱帯海域に生じる気候変動であり、世界的な気象変動にも大きな影響を与えます。

エルニーニョ現象は、通常、3~7年ごとに発生し、夏季に最も活発になります。

この現象は、通常、太平洋中央部の水温の変化により引き起こされます。

エルニーニョ現象が発生すると、太平洋中央部の熱水塊が西部に移動します。

この移動により、西部太平洋では海水温が上昇し、湿気が増えます。

この現象により、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、インド、東アフリカ、南米、北米など、全世界的に異常気象が発生することがあります。

エルニーニョ現象が発生すると、南米西岸では海水温が低下し、漁業に影響を与えたり、沖合のプランクトン生態系にも大きな影響を与えることがあります。

また、エルニーニョ現象により、世界中で異常気象が引き起こされる可能性があります。

たとえば、インドネシアやフィリピンでは、大雨や洪水などの自然災害が頻繁に発生し、米や砂糖などの作物の収穫量が激減する場合があります。

エルニーニョ現象は、気象現象の中でも最も大きなものの1つであり、世界的な気候変動に影響を与える可能性があります。

そのため、環境保護団体などからも注目が集まっており、今後の予測や対策が求められています。

農業や漁業に悪影響を与えるエルニーニョ現象の経済的影響

エルニーニョ現象は世界中の気象や海洋の変動に影響を与え、特に農業や漁業に深刻な経済的影響を与えます。

農業への影響としては、エルニーニョ現象によって霜の発生が遅れるため、作物の収穫が遅れてしまうことがあります。

また、豪雨や顕著な乾燥などの異常気象が発生し、収穫量が減少することがあります。

このような現象により、世界中の農業生産力が低下してしまうことがあります。

漁業においては、エルニーニョ現象によって温暖な海流が変化するため、水温や酸素量が低下してしまいます。

このような環境下では、漁場にいる魚の数が減少したり、魚の種類が変化することがあります。

これは、漁業に従事する人々にとって大きな打撃となります。

以上のような理由により、エルニーニョ現象は世界経済に大きな影響を与えます。

農業や漁業をはじめとする産業においては、数多くの人々の雇用や収入源となっています。

エルニーニョ現象の影響は、これらの産業に多大な損失をもたらすことになり、地域経済や国家経済のバランスを崩してしまう場合もあります。

このようなことから、エルニーニョ現象は世界的な規模で注目されており、異常気象の予測や、農業や漁業の被災地域に向けた支援が行われています。

今後も、エルニーニョ現象が発生する可能性があるため、その影響についての研究や対策が求められています。

エルニーニョ現象が日本にもたらす影響とは?

出典:https://urbanlife.tokyo/post/32077/

エルニーニョ現象が発生すると、太平洋の西側の海面水温が低下し、西太平洋周辺で積乱雲の活動が少なくなります。

それによって、日本の夏季は太平洋高気圧の影響が弱まり、気温が低く、日照時間が短くなる傾向があります。

さらに、西日本や日本海側では大量の降水が観測されることがあります。

冬季には、エルニーニョ現象が起こると、西高東低の気圧配置が弱まります。

このため、日本の冬季は気温がやや高くなり、晴れ間が増える傾向があります。

エルニーニョ現象が近年の日本で、大きな影響をもたらしたものといえば、1993年(平成5年)に起こった平成の米騒動と呼ばれる米不足でしょう。

この騒動の2年前にフィリピンのピナトゥボ山で起こった大規模噴火が、日本に極端な冷夏をもたらし、各地で大凶作とも言える状況をもたらしたことによって、日本国内に流通させる米が圧倒的に不足してしまった出来事です。

最大の要因は上記のピナトゥボ山の大規模噴火だとされていますが、それと同時にエルニーニョ現象(日本は冷夏になりやすい)も起こっていたことが確認されており、それも原因の一つだったとされています。

管理人も当時、中学生でありましたが、日本米が購入できず長粒種と呼ばれる水分の少ないタイ米に文句を言っていたような記憶があります。


このように、日本でも大きな影響をもたらすことがあるエルニーニョ現象。

今年の日本が冷夏になるかは、当然これからの天気次第ですが、既に日本列島のほぼすべての地域が梅雨入りしている状況で、蒸し暑さはあるものの気温は落ち着いた感じが続きそうです。

7月・8月の天候がどうなるかは誰にもわかりませんが、備えをしておいたほうがいいのかもしれません。


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