【災害時の水確保完全マニュアル】家族4人でも安心!最短3分で始める断水対策と必要量の計算方法

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はじめに:災害時に最も困るのは「水の確保」

「もし今、断水になったらどうしよう」と考えたことはありますか?災害時不安なこと1位は「断水により水道水が使えないこと」という調査結果が示すように、水の確保は多くの人が最も心配している課題です。

人間は水なしでは3日程度しか生きられないと言われています。食べ物なしでも数日間は生存可能ですが、水の確保ができなければ生命にかかわる深刻な状況に陥ってしまいます。

特に小さなお子様や高齢者がいる家庭では、一刻も早く安全な水を確保することが生命を左右する重要な要素となります。本記事では、災害時の水確保に関するあらゆる疑問を解決し、家族の安全を守るための具体的な方法をご紹介します。

災害時に必要な水の量を正確に計算しよう

飲料水の必要量:1人1日3リットルが基本

一般的な目安として、災害対策に必要な水の量は1人あたり約9Lとされています。これは1日につき1人あたり3L程度で、最低でも3日分の備蓄が望ましいとされています。

家族構成別の必要量(3日分)

– 1人世帯:9リットル

– 2人世帯:18リットル

– 3人世帯:27リットル

– 4人世帯:36リットル

– 5人世帯:45リットル

ただし、これは飲料水のみの計算です。調理用の水も含めると、より多くの水が必要になることを覚えておきましょう。

生活用水の必要量:1人1日10~20リットル

飲料水とは別に準備が必要なのが生活用水です。手洗いやトイレ(使用可能な場合)、食器類の洗浄などに使う生活用水は、1日につき1人あたり10~20L必要と言われています。

消防庁によると、大規模な災害発生時の生活用水の給水は災害発生から1週間~10日程度を目途に行われる目標のため、すぐに生活用水が得られるとは限りません。

生活用水の用途別内訳

– トイレ:1回あたり6~8リットル

– 手洗い・うがい:1日あたり2~3リットル

– 歯磨き:1回あたり0.5リットル

– 食器洗浄:1食あたり2~3リットル

– 体の清拭:1回あたり2~3リットル

これらを合計すると、最低でも3日分(1人あたり30~60L)の生活用水を用意しておきたいところです。

特別な配慮が必要な場合

妊娠中の女性・授乳中の女性

水分摂取量を通常より多く確保する必要があり、1日あたり4~5リットルの飲料水を準備しましょう。

乳幼児

粉ミルクの調乳用として、通常の必要量にプラス1~2リットルの水を確保してください。

高齢者

脱水症状を起こしやすいため、こまめな水分補給用として余裕をもった量を準備することが大切です。

ペット

体重1kgあたり50~60mlの水が1日に必要です。体重10kgの犬であれば、1日500~600mlの水を準備しましょう。

効果的な水備蓄方法とコツ

ローリングストック法で新鮮な水を維持

「ローリングストック法」とは、災害時に備えて水や食料を多めに買い置きして、消費した量に応じて補充する、という備蓄方法です。

ローリングストック法の実践手順

1. 通常使用する量の1.5~2倍の水を購入

2. 古いものから順番に消費

3. 消費した分だけ新しく補充

4. 常に一定量をキープする

ローリングストック法のポイントは、古いものから消費することと、使った分は必ず補充することです。この方法により、常に新鮮な水を一定量確保できるとともに、水の消費期限切れを防ぐことができます。

備蓄方法別のメリット・デメリット

ペットボトルでの備蓄

– メリット:手軽、持ち運びしやすい、個別管理が可能

– デメリット:保管スペースが必要、コストが高い

– 注意点:保管スペースがない場合は、ペットボトルを置く場所を分けるのも良い方法です。災害時は自宅が被害に遭ってペットボトルを取り出せなくなる可能性があるため、分散しての保存がおすすめです

ウォータータンクでの備蓄

ポリタンクなどのハードタイプのウォータータンクは、大容量の水を備蓄できる点がメリットです。また、保管スペースに限りがある場合は、小さくコンパクトに収納できる袋状のソフトタイプも選ぶとよいでしょう。

– ハードタイプのメリット:大容量、頑丈、長期保存可能

– ソフトタイプのメリット:使用時以外はコンパクト、軽量

水道水の保存

– メリット:低コスト、手軽

– デメリット:保存期間が短い(3日程度)

– 注意点:清潔な容器を使用し、涼しい場所で保管

保管場所の工夫とポイント

分散保管の重要性

一か所にまとめて保管すると、その場所が被害を受けた際にすべての備蓄を失う危険があります。

– 1階と2階に分散

– 室内と屋外の物置に分散

– 自宅と職場(可能であれば)に分散

適切な保管環境

– 直射日光を避ける

– 高温多湿を避ける

– 冷凍しない

– 清潔な環境を保つ

断水が発生した時の対処法

断水発生直後にすべきこと

1. 情報収集

– 自治体の防災無線・ホームページを確認

– 復旧予定時期の把握

– 給水車の派遣予定の確認

2. 節水対策の実施

災害時には普段から使うアイテムや防災グッズを使って、生活用水を最低限に抑える節水方法でお水を効率的に使いましょう。

節水テクニック

– お皿にラップを敷けば洗い物をする必要がなく、お水を使わずに済みますし、紙皿・紙コップを使う場合でも、ラップを敷くと繰り返し使うことができます

– 耐熱ポリ袋は災害時の調理に適しており、調理に使う洗い物を最小限にすることができるのに加え、手を汚すこともなく、衛生面も安心です

3. 生活用水の確保

– 空のペットボトルに水を入れて冷凍庫で保管(保冷剤代わりにもなる)

– お風呂の残り湯を活用

– 雨水の収集(生活用水のみ)

給水車からの給水を効率的に受ける方法

必要な道具の準備

– 給水袋(折りたたみ式推奨)

– ポリタンク(10~20リットル推奨)

– 台車やキャリーカート

– 清潔なタオル

– 身分証明書

給水時の注意点

– 事前に容器を清潔にしておく

– 長時間の待機に備えた服装

– 家族分の容器を持参

– 給水量の制限を事前確認

効率的な運搬方法

災害時に水を大量に運搬する必要がある場合は、給水タンク「ホリフトウォーター」に水を充填し、トラックで輸送するという方法があります。個人レベルでは、台車やキャリーカートを活用することで、重い水の運搬負担を軽減できます。

自作節水グッズの作成方法

ペットボトル節水器の作り方

ペットボトルの下部に、キリ等で小さめの穴を1つ開けます。その穴を指で押さえながらお水を入れ、穴を押さえたままキャップを締めます。キャップが締まっている間はお水が出ず、キャップを緩めるとお水が出る仕組みとなっているため、蛇口のように使うことができます。

材料

– 500mlまたは2リットルのペットボトル

– キリまたは細いドライバー

使用方法

1. 穴を指で押さえながら水を入れる

2. キャップを締める

3. 使用時にキャップを緩めて水を出す

4. 使用後はキャップを締めて節水

災害時の浄水方法と防災グッズ

家庭用浄水器の種類と特徴

携帯用浄水器

成人が1日に必要とする水分量は1人約3リットルといわれています。例えば、4人世帯の場合は1日あたり12リットル必要となり、ライフラインが復活するまでの日数分必要だと考えると、相当な量の水の備蓄が必要となります。災害時の避難生活が長くなると、備蓄の水では足りなくなることが想定されます。こうした状況で活躍するのが携帯用浄水器です。

主な浄水器タイプ

1. ストロータイプ

– 特徴:コンパクト、軽量(約65g)

– 処理能力:約350リットル(製品による)

– メリット:携帯性に優れ、簡単操作

– デメリット:一度に処理できる量が少ない

2. ボトルタイプ

– 特徴:ペットボトルサイズ、給水と浄水を同時実行

– 処理能力:数千リットル(製品による)

– メリット:大容量処理、使いやすい

– デメリット:やや重い、場所を取る

3. ポンプタイプ

– 特徴:手動ポンプ式、大量処理可能

– 処理能力:毎分8リットル以上

– メリット:短時間で大量の水を浄水

– デメリット:重い、場所を取る

浄水器選びのポイント

除去能力の確認

病原細菌(大腸菌、コレラ菌、バクテリア、チフス、インフルエンザなど)、カビ、原生動物(エキノコックスなど)や、「家庭用品品質表示」に定められた13物質を除去できます。

注意すべき点

しかし、農薬、ヒ素など除去できない物質もあるため、それらが含まれている可能性がある水を浄水した場合は、飲料水には適しません。ただし、手洗い、食器洗い、洗濯等の生活水としは安心して使用できます。

災害時におすすめの浄水器の特徴

1. 電力不要(手動式・重力式)

2. 軽量・コンパクト

3. 簡単操作

4. 高い除去性能

5. 長期間使用可能

簡易浄水方法

布を使った基本的なろ過

1. 清潔な布(タオル、Tシャツなど)を準備

2. 容器に布を重ねてセット

3. 濁った水をゆっくり注ぐ

4. 大きなゴミや泥を除去

砂と小石を使った多層ろ過

1. ペットボトルの底に穴を開ける

2. 下から順に小石→粗い砂→細かい砂→布の順で層を作る

3. 上から水を注いでろ過

4. ※この方法は濁りを取るだけで、細菌は除去できません

煮沸による殺菌

1. ろ過した水を鍋に入れる

2. 沸騰してから5分以上煮沸を継続

3. 冷ましてから使用

4. カセットコンロやガスボンベを活用

防災グッズとしての水関連アイテム

必須アイテムリスト

1. 携帯用浄水器(家族人数分)

2. 給水袋(20リットル容量推奨)

3. ポリタンク(10~20リットル)

4. 折りたたみウォータータンク

5. 水質検査薬(簡易タイプ)

あると便利なアイテム

1. 非常用トイレ(1人1日5回~7回・最低7日分)

2. ウェットティッシュ

3. からだ拭きシート

4. ドライシャンプー

5. 食品用ラップフィルム

6. 耐熱ポリ袋

7. カセットコンロ・ガスボンベ

地域の給水拠点を事前に確認しよう

災害時給水ステーションの確認方法

断水などが発生した際の飲料水等の供給は、東京都水道局が設置する区内外14カ所の「災害時給水ステーション(給水拠点)」で行うこととしております。各自治体では同様の給水拠点を設定しているので、必ず事前に確認しておきましょう。

確認すべき情報

1. 給水拠点の場所(最低3か所は把握)

2. 自宅からの距離と移動ルート

3. 給水開始のタイミング

4. 給水可能時間

5. 1世帯あたりの給水量制限

確認方法

– 自治体の公式ホームページ

– 防災ハンドブック・防災マップ

– 市役所・区役所での問い合わせ

– 防災訓練での情報収集

避難所での水の確保

避難生活において、ライフラインの断絶により一番困ったのは水の確保であり、とりわけトイレの水が確保できずに困った。多くの被災者は、水が十分に使えないことによって、洗濯や風呂が制限された。

避難所では給水設備が整備されている場合もありますが、多くの避難者で水の取り合いになることも想定されます。避難の際も最低限の水は持参することが重要です。

実際の災害体験から学ぶ水確保の重要性

過去の災害での水不足の実態

東日本大震災の例では、多くの地域で水道の復旧に10日以上かかりました。東日本大震災は、給水所で2時間3時間の行列が当たり前という状況でした。

災害別の断水期間

– 東日本大震災:最長5か月以上の地域あり

– 熊本地震:最長約2週間

– 北海道胆振東部地震:最長約1週間

– 令和6年能登半島地震:一部地域で数か月継続

被災者の声から学ぶ教訓

「水の重要性を痛感」

多くの被災者が「食べ物よりも水の確保が最優先だった」と証言しています。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、安全な水の確保が生死を分けることもありました。

「備蓄していて良かった」

事前に水を備蓄していた家庭は、発災直後の混乱期を乗り切ることができ、精神的な余裕も保てたという声が多く聞かれます。

「給水車の水だけでは足りない」

給水車からの給水は量や時間に制限があるため、日常生活に必要な水量をすべて賄うことは困難でした。

体験談:4人家族の水確保奮闘記

Aさん家族(夫婦+子ども2人)の場合

「地震発生から3日目まで、備蓄していた36リットルの水でなんとか過ごせました。でも、思っていた以上に水の消費量が多く、特にトイレの水と子どもの体を拭く水の消費が激しかったです。

4日目からは給水車に頼りましたが、2時間待ちは当たり前。子どもを連れての長時間待機は本当につらかったです。携帯用浄水器を1つ持っていたので、お風呂の残り湯を浄水して生活用水にできたのは助かりました。

今では1週間分の水を備蓄し、家族全員分の携帯用浄水器を準備しています。」

季節別・災害別の水確保対策

夏場の災害時対策

脱水症状への対応

夏場は発汗量が増加するため、通常よりも多くの水分補給が必要です。1人1日4~5リットルの飲料水を準備しましょう。

熱中症対策

– 電解質を含む飲料水の確保

– 体を冷やすための水の確保

– 日陰での水分補給場所の確保

保存上の注意

– 高温環境では水が傷みやすい

– 直射日光を避けた保管

– こまめな水質チェック

冬場の災害時対策

凍結対策

– 水の凍結を防ぐ保管場所の選定

– 凍結した場合の解凍方法の確認

– 配管凍結による断水の長期化対策

温かい飲み物の確保

– カセットコンロでのお湯沸かし

– 保温ポット・魔法瓶の活用

– インスタント食品用のお湯確保

地震災害時の特別対策

建物倒壊リスクへの備え

– 分散保管の徹底

– 取り出しやすい場所への配置

– 避難時の水の持ち出し優先順位

余震への対応

– 水タンクの転倒防止対策

– ガラス容器の使用回避

– 移動時の水こぼれ対策

水害災害時の特別対策

汚染水対策

– 浸水した水の使用禁止

– 井戸水の水質検査

– 浄水器のフィルター交換頻度増加

避難時の水確保

– 防水バッグでの水保護

– 高所への水備蓄

– 浸水想定区域での準備方法

家族で取り組む水確保訓練

定期的な水確保訓練の実施

月1回の水確保訓練

1. 蛇口を使わずに1日過ごす

2. 備蓄水だけで調理を行う

3. 浄水器の使用練習

4. 節水生活の実践

5. 給水車訓練(自治体イベント参加)

子どもと一緒にできる水の大切さ学習

水の大切さを学ぶ活動

1. 1日の水使用量の計測

2. ペットボトル節水器の工作

3. 簡易浄水器の実験

4. 災害時の水確保ゲーム

家族会議での確認事項

– 各家族の役割分担

– 水確保の優先順位

– 緊急時の連絡方法

– 避難時の水持ち出しルール

最新の水確保技術と今後の展望

IoT技術を活用した水管理

スマート水位センサー

家庭用水タンクの水位をリアルタイムで監視し、スマートフォンで確認できるシステムが登場しています。

水質監視システム

簡易な水質検査がセンサーで自動実行され、安全性をデジタルで確認できる技術が開発されています。

次世代浄水技術

太陽光発電浄水システム

電気を使わずに太陽光で動作する浄水システムが実用化されており、長期間の災害時でも安定した水の確保が可能になっています。

ナノテクノロジー浄水

従来除去できなかった微細な有害物質まで除去可能な新しいフィルター技術が開発されています。

まとめ:今すぐ始める水確保対策

最低限今日からできること

即実行リスト

1. 家族の必要水量計算(飲料水:人数×3L×7日分)

2. 現在の備蓄量チェック

3. 地域の給水拠点確認

4. ローリングストック開始

5. 携帯用浄水器1個購入

1か月以内に整備すべき項目

1. 1週間分の飲料水確保

2. 生活用水3日分確保

3. 家族人数分の浄水器準備

4. 給水用具一式購入

5. 分散保管の実施

継続的に行うべき活動

– 月1回の備蓄チェック

– 季節に応じた対策見直し

– 家族での水確保訓練

– 最新情報のアップデート

– 地域防災活動への参加

災害はいつ発生するか分からないからこそ、「明日から」ではなく「今日から」水の確保対策を始めることが大切です。災害時に備えて備蓄水を用意している人の割合は78%!一方災害時に必要な1日3L/1人、最低3日分の水を用意できている人はわずか24.6%という現実があります。

あなたの家族を守るため、まずは今日、家族の必要水量を計算し、近くのスーパーで備蓄水を購入することから始めてみませんか?小さな一歩が、いざという時の大きな安心につながります。

水の確保は災害対策の基本中の基本。しっかりとした準備で、どんな災害にも負けない強い家庭を作り上げていきましょう。