「災害が起きた時、どこから正確な情報を得ればいいのか分からない」「SNSで流れる情報はどれが本当なの？」そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
災害大国日本では、地震、台風、豪雨、津波など様々な自然災害が発生する可能性があります。そんな時、家族を守るためには迅速で正確な情報収集が不可欠です。災害時に情報収集が大切であるとよく言われますが、具体的にどのような情報収集をすべきかは分かりにくいものです。
本記事では、災害時の情報収集方法から、信頼できる情報源の見分け方、そして平時から準備しておくべき情報収集体制まで、家族の安全を守るための具体的な方法を詳しく解説します。
災害時に必要な情報収集の基本知識
災害時に収集すべき情報の種類
災害が発生した際、私たちが収集すべき情報は多岐にわたります。まず基本となるのは現在の災害状況です。これには地震の規模、台風の進路、豪雨の予想雨量、津波の到達予想時間など、災害の規模と影響範囲を把握するための情報が含まれます。
次に重要なのが避難に関する情報です。避難指示や避難勧告の発令状況、避難所の開設状況、安全な避難ルートの確認、交通機関の運行状況などが該当します。「東京マイ・タイムライン」の作成をお願いします。のように、事前に自分だけの避難計画を作成しておくことで、いざという時の判断がスムーズになります。
さらに、ライフラインの状況も重要な情報です。電気、ガス、水道の供給状況、復旧見込み、通信回線の状況、道路の通行可能性などを把握することで、今後の行動計画を立てることができます。
情報収集のタイミングと優先順位
災害情報の収集には適切なタイミングと優先順位があります。災害時、スマホや携帯電話は家族の安否を確認し、自らの命を守るための非常に重要なツールとなる。
第1段階：発生直後（0～30分）
– 緊急地震速報や津波警報の確認
– 自分と家族の安全確認
– 周囲の状況把握
第2段階：初期対応（30分～3時間）
– 避難指示・勧告の有無
– 避難所の開設状況
– 交通機関の運行状況
第3段階：中期対応（3時間～24時間）
– ライフラインの復旧状況
– 支援物資の配布情報
– 今後の災害予測
第4段階：長期対応（24時間以降）
– 復旧作業の進捗
– 支援制度の情報
– 生活再建に向けた情報
情報の信頼性を見極める3つのポイント
災害時には様々な情報が錯綜します。情報元が気象庁や国土交通省などの公的機関である場合、他の情報機関と比較して最速で情報を手に入れられる可能性が高いです。
1. 情報源の確認
信頼できる情報源は、気象庁、国土交通省、自治体の公式サイト、NHKなどの公共放送、大手新聞社の公式サイトなどです。個人のSNSアカウントや匿名掲示板の情報は、参考程度に留めておくことが重要です。
2. 複数の情報源での確認
一つの情報源だけに頼らず、複数の信頼できる情報源で同じ情報が発信されているかを確認しましょう。公式な情報であれば、複数の機関から同様の内容が発信されるはずです。
3. 情報の新しさと具体性
災害時の状況は刻々と変化するため、情報の発信時刻を必ず確認しましょう。また、「大きな被害が発生している」といった曖昧な表現ではなく、具体的な数値や場所が明記されている情報の方が信頼性が高いと言えます。
緊急時に役立つ情報収集手段とツール
防災アプリの活用方法
災害に備えるためには防災グッズを用意するだけでなく、防災アプリをダウンロードして情報収集ができるように準備しておくことが大切です。
Yahoo!防災速報
7000万ダウンロード突破！という実績を持つ最も人気の高い防災アプリです。Yahoo!防災速報は非常に多機能な防災アプリで、「避難情報」「津波情報」「自治体からの緊急情報」など、計12種類もの防災情報をリアルタイムで把握することが可能です。
主な機能：
– 緊急地震速報の即座な通知
– 豪雨予報による事前警告
– 現在地＋3地点までの災害情報通知
– 避難所の場所確認
– ハザードマップの表示
NHK ニュース・防災
NHK ニュース・防災アプリでは、地震や台風などの災害情報をマップで確認できるだけでなく、災害に関するライブ映像も配信しています。
特務機関NERV防災
気象業務支援センターから受け取った、地震・津波・噴火の速報や土砂災害・浸水害・洪水害の防災気象情報を国内最速レベルで配信するアプリです。
公的機関の情報サイト活用術
内閣府防災情報のページ
全国の防災のあらゆる情報が集約された内閣府（防災担当）が運営する外部ポータルサイトです
国土交通省防災情報提供センター
国土交通省が保有する防災情報を集約して、わかりやすく提供しています。主にリアルタイムの雨量情報、河川情報、道路情報を提供しています。
自治体の公式情報
自治体が発表する防災情報を、関係する地域の方に直接配信します。お住まいの自治体のWebサイトやSNSアカウントをブックマークしておくことで、地域固有の災害情報を迅速に入手できます。
ラジオとテレビの効果的な活用
スマートフォンのバッテリーが切れた場合や、インターネット回線が不安定な場合に備えて、電池式のラジオを準備しておくことも重要です。NHKの第1放送では、災害時には24時間体制で最新情報を提供しています。
車をお持ちの方は、カーラジオも有効な情報収集手段になります。エンジンをかけなくても、多くの車種ではバッテリーからの電力でラジオを聞くことができます。
SNSの正しい使い方
Twitterを使って救援要請を行うときは「#救助」を覚えておこう。緊急時のSNS活用では、以下の点に注意が必要です：
情報収集での注意点
– 公式アカウントの情報を優先する
– 個人の投稿は参考程度に留める
– 画像や動画の撮影日時を確認する
– 感情的な投稿は冷静に判断する
安否確認での活用
– Facebook「セーフティチェック」機能
– Google「パーソンファインダー」
– 災害用伝言板サービス
災害時のデマ・誤情報対策
デマ情報の特徴と見分け方
災害時は一刻を争う緊急事態のため、人々の警戒心が弱まる傾向があり、このようなデマは被災された方々や人命救助を含む災害支援や情報伝達に悪影響を及ぼす原因となります。
デマ情報の典型的なパターン
1. 感情に訴える表現：「大変なことになっている」「すぐに拡散して」といった煽り文句
2. 具体的な根拠の欠如：「友人から聞いた」「テレビで見た」など、曖昧な情報源
3. 極端な内容：現実離れした被害状況や、過度に不安を煽る内容
4. 拡散を促す文言：「みんなに知らせて」「リツイートお願いします」
デマを見分けるチェックポイント
– 情報の発信者は明確か？
– 公式な情報源からの確認は取れているか？
– 情報の内容は具体的で論理的か？
– 複数の信頼できる情報源で確認できるか？
正しい情報との向き合い方
災害時にデマが広まりやすい背景として、社会全体が不安に包まれていることが挙げられる。このような状況下では、以下のような対応が重要です：
情報収集の基本姿勢
1. 一次情報を重視する：政府機関、自治体、気象庁などの公式発表を最優先
2. 複数の情報源で確認：一つの情報だけを鵜呑みにしない
3. 感情的な判断を避ける：不安や恐怖に駆られた状態での判断は避ける
4. 拡散前の確認：情報をシェアする前に、必ず信頼性を確認
デマに遭遇した時の対処法
– 情報の出典を確認する
– 公式サイトで事実確認を行う
– 拡散は控える
– 正しい情報があれば、それを提供する
家族でのデマ対策
災害時のデマ対策は、家族全員で共有しておくことが重要です。特に、インターネットに慣れていない高齢の家族や、SNSを頻繁に使用する中高生の家族には、事前に以下のような対策を教えておきましょう：
家族でのルール作り
– 重要な情報は必ず複数の人で確認する
– 不安になる情報を見つけた時は、家族に相談する
– 情報をシェアする前に、出典を確認する
– 公式な情報源のリストを家族で共有する
平時から準備しておくべき情報収集体制
防災アプリと情報源の事前設定
結論、2〜3つほどインストールするのがおすすめです。これはアプリごとに異なる機能が搭載されているためです。複数のアプリを活用することで、多角的な情報収集が可能になります。
推奨するアプリの組み合わせ
1. 総合型：Yahoo!防災速報（包括的な災害情報）
2. 速報型：特務機関NERV防災（最速の地震・津波情報）
3. 詳細型：NHK ニュース・防災（詳細な解説付き情報）
事前設定のポイント
– 現在地の位置情報を有効にする
– 家族の居住地域・勤務先を登録する
– 通知設定を適切に調整する
– 定期的にアプリの動作確認を行う
家族の連絡手段の確保
災害時は通常の電話回線が混雑し、繋がりにくくなることがあります。そのため、複数の連絡手段を確保しておくことが重要です。
連絡手段の多様化
– 災害用伝言ダイヤル（171）の使い方を覚える
– 災害用伝言板サービスの登録
– 家族共通のSNSグループを作成
– 緊急時集合場所の事前決定
連絡先リストの作成
– 家族の連絡先（複数の手段）
– 職場・学校の連絡先
– 近所の親戚・友人の連絡先
– 避難所の連絡先
– 地域の防災担当者の連絡先
情報機器のバッテリー対策
防災アプリの魅力は、情報伝達スピードの速さです。しかし、スマートフォンのバッテリーが切れてしまっては、この魅力を活かすことができません。
バッテリー対策の具体例
– モバイルバッテリーの準備（容量10,000mAh以上推奨）
– 手回し充電器の準備
– 太陽光充電器の活用
– 車のシガーソケット用充電器
– 乾電池式の充電器
節電テクニック
– 画面の明るさを下げる
– 不要なアプリを終了する
– 位置情報サービスの調整
– 低電力モードの活用
– Wi-Fi接続の最適化
ハザードマップの活用と保管
土砂災害警戒区域や浸水想定区域のハザードマップ情報を地図上に表示させられるので、周囲の危険度をわかりやすく把握可能です。
ハザードマップの入手方法
– 自治体の役場・出張所での配布
– 自治体のWebサイトからダウンロード
– 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
– スマートフォンアプリでの確認
ハザードマップの活用方法
– 自宅周辺の災害リスクを確認
– 避難経路の事前確認
– 避難所までの距離と時間を把握
– 近隣の危険箇所をチェック
– 家族との共有と話し合い
実践的な情報収集シミュレーション
地震発生時の情報収集手順
大地震が発生した場合を想定して、具体的な情報収集手順を見てみましょう。
発生直後（0-10分）
1. 身の安全を確保した後、スマートフォンで緊急地震速報を確認
2. 震度、震源地、津波の有無を確認
3. 家族の安否を確認（安否確認アプリを活用）
4. 周囲の状況を目視で確認
初期対応（10-30分）
1. 防災アプリで避難指示・勧告の発令状況を確認
2. 最寄りの避難所の開設状況を確認
3. 交通機関の運行状況を確認
4. ライフラインの状況を確認
中期対応（30分-3時間）
1. 余震の予測情報を確認
2. 避難経路の安全性を確認
3. 支援物資の配布情報を確認
4. 家族・知人への状況報告
台風接近時の情報収集手順
台風は地震と異なり、事前に予測できる災害です。そのため、段階的な情報収集が重要になります。
3日前から
– 台風の進路予想を確認
– 接近予定日の予定を調整
– 防災用品の点検・補充
– 避難経路の確認
前日から
– 最新の進路予想を確認
– 警報・注意報の発表状況を確認
– 交通機関の運行計画を確認
– 家族の行動計画を最終確認
当日
– リアルタイムの気象情報を確認
– 避難指示・勧告の発令状況を確認
– 周囲の状況を定期的に確認
– 必要に応じて避難開始
豪雨災害時の情報収集手順
近年増加している豪雨災害では、短時間で状況が急変することがあります。
降雨開始前
– 気象庁の降雨予想を確認
– 自治体の警戒レベルを確認
– 河川の水位情報を確認
– 土砂災害警戒情報を確認
降雨中
– リアルタイムの雨量情報を確認
– 河川の水位変化を監視
– 避難指示・勧告の発令状況を確認
– 近隣の被害状況を確認
降雨後
– 河川の水位低下を確認
– 土砂災害の発生状況を確認
– 道路の通行可能性を確認
– 今後の気象予想を確認
地域コミュニティとの連携
地域防災組織との連携
関東大震災から100年を契機とした自助・共助の更なる促進を図るため、令和5年9月に、都民の災害への備えを促す防災ブック「東京くらし防災（平成29年度作成）」及び「東京防災（平成27年度作成）」のリニューアルを行いました。
地域防災組織の役割
– 地域独自の災害リスク情報の提供
– 避難訓練の実施
– 要支援者の把握と支援
– 災害時の情報共有システム
参加のメリット
– 地域特有の災害情報を入手できる
– 近隣住民との連携が強化される
– 実践的な防災知識を習得できる
– 災害時の心理的な支えになる
近隣住民との情報共有
災害時には、近隣住民同士の情報共有が非常に重要になります。特に、高齢者や小さな子供がいる家庭では、近隣のサポートが欠かせません。
日常的な関係作り
– 近隣住民との挨拶を欠かさない
– 地域の防災訓練に参加する
– 町内会や自治会に参加する
– 地域のイベントに参加する
緊急時の連絡体制
– 近隣住民の連絡先を把握する
– 要支援者の情報を共有する
– 避難時の役割分担を決める
– 定期的な安否確認の方法を決める
学校・職場との連携
家族が学校や職場にいる時間帯に災害が発生する可能性もあります。そのため、学校や職場の防災計画を事前に確認しておくことが重要です。
学校との連携
– 学校の防災計画を確認する
– 引き渡し訓練に参加する
– 学校との連絡方法を確認する
– 子供への防災教育を実施する
職場との連携
– 職場の防災計画を確認する
– 帰宅困難者対策を確認する
– 職場での備蓄品を確認する
– 家族との連絡方法を決める
災害情報の記録と活用
被害状況の記録方法
災害時には、被害状況を正確に記録しておくことが、その後の復旧・復興に役立ちます。
記録すべき内容
– 災害発生日時
– 被害の詳細（写真・動画）
– 損害額の概算
– 避難の経緯
– 支援の受給状況
記録の方法
– スマートフォンの写真・動画機能
– 防災アプリの記録機能
– 手書きのメモ
– 音声による記録
情報の整理と家族での共有
収集した情報は、整理して家族で共有することが重要です。
情報整理の方法
– 重要度による分類
– 時系列での整理
– 情報源別での整理
– 家族への影響度による分類
家族での共有方法
– 定期的な家族会議
– 共有ファイルの作成
– SNSグループでの情報共有
– 防災ノートの作成
次回の災害に備えた改善点の検討
災害を経験した後は、情報収集の方法や体制について見直しを行うことが重要です。
見直しのポイント
– 情報収集の速度は十分だったか
– 情報の正確性は保たれていたか
– 家族間の連絡は円滑だったか
– 避難の判断は適切だったか
– 改善すべき点は何か
まとめ：家族を守る災害情報収集の極意
災害時の情報収集は、家族の命を守る重要なスキルです。災害時における情報の把握は、自分の身の回りの安全を確保する為に必要不可欠です。
3つの必須スキル
1. 信頼できる情報源の見極め：公的機関の情報を最優先し、複数の情報源で確認する
2. 適切なタイミングでの情報収集：災害の段階に応じて、必要な情報を効率的に収集する
3. デマ・誤情報の識別：感情的な判断を避け、冷静に情報の信頼性を評価する
15の信頼できる情報源
– 気象庁
– 内閣府防災情報のページ
– 国土交通省防災情報提供センター
– 自治体の公式サイト
– NHK（テレビ・ラジオ・アプリ）
– Yahoo!防災速報
– 特務機関NERV防災
– 災害用伝言板サービス
– 地域防災組織
– 近隣住民のネットワーク
– 学校・職場の防災計画
– ハザードマップ
– 防災ラジオ
– 公共交通機関の公式情報
– 電力・ガス・水道会社の公式情報
災害はいつ発生するか分かりません。しかし、事前の準備と正しい知識があれば、迅速かつ適切な対応が可能になります。地震や台風などの自然災害が多い日本では、常日頃から災害に対して備えておく必要があり、防災アプリはその一助となります。
今日から始められることは、防災アプリのインストールと設定、家族での防災会議、近隣住民との関係作りです。小さな一歩から始めて、家族全員が安心して暮らせる環境を作っていきましょう。
情報収集は決して難しいことではありません。正しい知識と適切な準備があれば、誰でも身につけることができるスキルです。この記事を参考に、あなたの家族に最適な災害情報収集体制を構築してください。
災害時の情報収集で最も大切なのは、「正確な情報を冷静に判断し、家族の安全を最優先に行動する」ことです。技術的な知識も重要ですが、何より大切なのは、家族を守るという強い意志と、そのための事前の準備なのです。
