【要配慮者別】完全ガイド!家族を守る災害対策|赤ちゃん・高齢者・ペット避難の失敗しない3つの準備法

家族を守る要配慮者別防災対策:完全ガイド

災害大国日本で暮らす私たちにとって、家族の安全を守る防災対策は欠かせません。特に赤ちゃん、高齢者、そしてペットなどの要配慮者がいる家庭では、一般的な防災対策だけでは不十分です。

本記事では、要配慮者別の災害対策について、最新の情報と実践的なアドバイスを詳しく解説します。災害発生時に「あの時準備しておけば良かった」と後悔しないよう、今すぐ実践できる具体的な対策方法をご紹介します。

要配慮者とは?災害時に特別な配慮が必要な理由

要配慮者とは、災害発生時に自分の身を守ることが困難で、周囲の支援が必要な人々を指します。具体的には乳幼児、高齢者、障害者、妊産婦、そして家族の一員であるペットも含まれます。

要配慮者が災害時に直面する課題

要配慮者が災害時に直面する主な課題は以下の通りです:

1. 避難行動の困難さ:迅速な避難が困難

2. 情報取得の制約:災害情報の入手や理解が困難

3. 特別なニーズ:一般的な支援物資では対応できない個別のニーズ

4. 環境変化への適応困難:避難所などの慣れない環境でのストレス

実際に、赤ちゃん含む要配慮者のために物資を備蓄している自治体は55%に留まっており、支援物資も赤ちゃんのものはなかなか手に入りづらい現状があります。また、自力での避難が困難な方のために「避難行動要支援者名簿」という制度も整備されています。

赤ちゃんがいる家庭の防災対策

赤ちゃんの災害対策で最も重要なポイント

赤ちゃんがいる家庭の防災対策では、以下の3つのポイントが特に重要です:

#### 1. 液体ミルクの備蓄が必須

災害時にはお湯がない場合が多いため、ミルク育児の場合は液体ミルクの活用が推奨されています。また、普段は母乳のママも、災害時の緊張や疲れから母乳が出づらくなるケースがあるため、液体ミルクや粉ミルクの準備が必要です。

液体ミルクの利点:

– 調乳不要で常温のまま哺乳瓶に移すだけ

– 専用アタッチメントがあれば哺乳瓶への移し替え不要

– 水が手に入らない状況でも授乳可能

– 長期保存が可能

#### 2. 避難時の移動方法

大災害が発生すると道が混雑し、建物や塀、街路樹などが倒れたり、道がでこぼこでベビーカーが動かせなくなる可能性が高くなります。一刻を争う災害時には、抱っこで逃げることが推奨されており、足元が不安定な場合を考えて抱っこ紐があるとより安全です。

#### 3. 赤ちゃん用非常持ち出し袋の準備

赤ちゃんとの防災に必要なものは非常時にさっと持ち出せるよう「非常用持ち出し袋」を作っておくことが重要です。災害時に備えておくべき食料は少なくとも3日分、赤ちゃんの乳児用ミルクも3日分はストックがあると良いでしょう。

赤ちゃん用防災グッズリスト

最優先で準備すべき品目:

– 液体ミルク(3日分以上)

– 紙おむつ(1週間分)

– おしりふき

– 哺乳瓶・専用アタッチメント

– 抱っこ紐

– 母子手帳・健康保険証のコピー

余裕があれば追加したい品目:

– ベビーフード(月齢に応じたもの)

– 着替え・肌着

– おくるみ・タオル

– お気に入りのおもちゃ

– 使い捨てカイロ

– 携帯アルミブランケット

スーパーなどでは災害発生後1週間以上、粉ミルクは品薄・欠品状態になり、配給には時間がかかる場合があります。また、水不足で粉ミルク用のお湯を沸かしたり、哺乳びんを洗って消毒することができないことも想定されます。

赤ちゃん連れ避難時の注意点

避難所での心構え:

– 周囲への気配りとマナーの徹底

– 赤ちゃんの泣き声対策の準備

– 授乳・おむつ替えスペースの確認

– 感染症対策の徹底

災害時でも子どものケアは基本的には普段と同じであり、災害時の備えとは「非常時の環境をどれだけ普段の環境に近づけられるか」が重要です。

高齢者の災害対策

高齢者避難の3つの基本原則

#### 1. 早めの避難行動

高齢者の場合は警戒レベル3「高齢者等避難」が発令されたら、危険な場所から安全な場所へ避難することが推奨されています。一般の避難指示を待つのではなく、より早いタイミングでの避難が重要です。

#### 2. 避難行動要支援者名簿への登録

自力での避難が困難な方は「避難行動要支援者名簿」に申請・登録することで、支援者(民生委員・消防機関・自主防災組織等)が日常の見守りや避難訓練などを実施し、災害時には避難連絡や避難誘導などの支援を行います。

#### 3. 事前の避難経路確認

高齢者は足腰が弱っていることが多いので、避難に時間がかかります。地図上で確認しただけでは「車椅子では通れない」「階段が急で上れない」ということもあるため、自宅から避難所まで実際に歩いてみて時間を把握しておくことが重要です。

高齢者用防災グッズの特徴

医療関連品目(最重要):

– 処方薬(最低3日分、できれば7日分)

– お薬手帳のコピー

– 健康保険証のコピー

– 医療機器(血圧計、血糖値測定器等)

生活必需品:

– 老眼鏡・メガネの予備

– 入れ歯・入れ歯安定剤

– 大人用おむつ・尿取りパッド

– 軽量な防災リュック

高齢者が避難する際に特に重要なのが、持病の薬や健康保険証、お薬手帳のコピーです。持病の薬が不足すると命にかかわることもあるため、非常用に最低3日分、できれば7日分を備えておくことが大切です。

高齢者の避難所生活での注意点

健康管理のポイント:

– 規則正しい生活リズムの維持

– 適度な運動とストレッチ

– 水分補給の徹底

– 口腔ケアの継続

避難所での慣れない環境や食事、運動不足などは、高齢者の身体にさまざまな影響を及ぼします。生活不活発病(廃用症候群)やエコノミークラス症候群(血栓症)などを発症する可能性があるため、定期的に体を動かし、こまめに水分をとることが重要です。

ペットの災害対策と同行避難

同行避難の基本的な考え方

災害が起こったときに最初に行うことは飼い主自身や家族の安全確保ですが、ペットの安全確保についても普段から考え備えておく必要があります。避難が必要な場合は、原則としてペットを同行して避難することが重要です。

同行避難と同伴避難の違い:

同行避難:ペットを連れて避難所まで安全に避難すること

同伴避難:避難所でペットと飼い主が同一空間で過ごすこと

同行避難は避難所において人とペットが同一の空間で居住できることを意味するものではありません。避難所はあくまで人命優先のために設けられた場所であり、動物が苦手な人や動物アレルギーを持っている人もいるため、ペット専用の部屋や場合によっては屋外での飼養も考えておく必要があります。

ペット用防災グッズの準備

必須アイテム(優先度高):

– キャリーバッグ・ケージ

– 5-7日分のフードと水

– 首輪・リード・ハーネス

– 迷子札・身元表示

– 常備薬

– 排泄処理用品

推奨アイテム(余裕があれば):

– 食器類

– ペット用タオル・毛布

– お気に入りのおもちゃ

– グルーミング用品

– 写真(飼い主と一緒に写っているもの)

ペットのための備えは飼い主の責任であり、最低でも5日分、できれば7日分を目安にペット用の防災用品を備蓄しておくことが推奨されています。災害時には食料品の支援も人命優先のため、ペットフードの支援は後回しになりがちです。

日頃からのしつけと準備

災害対策のためのしつけ:

– キャリーバッグ・ケージに慣れさせる

– 基本的なしつけ(「おすわり」「まて」「おいで」)

– 他の人や動物との社会化

– 様々な音や環境に慣れさせる

同行避難した先では多くの動物が集まり、自分のペットが他の動物と一緒に過ごすことになる可能性があります。また、避難所では動物が苦手な人やアレルギーがある人など様々な人が集まるため、日頃からむやみに吠えないなどの基本的なしつけが重要です。

自治体別の対応確認

ペットの同行避難に関する対応は自治体により異なります。事前に確認しておくべき項目:

– ペット受け入れ可能な避難所の場所

– ペットの種類・サイズ制限

– 避難所でのペット飼養ルール

– 一時預かり施設の情報

– 緊急時の連絡先

同行避難ができるペットは自治体によって異なります。たとえば東京都は「犬、猫、小鳥、小型のげっ歯類(ハムスターなど)などの一般的なペット」としており、避難所の受け入れが難しいと思われる動物を飼育している場合は、あらかじめ自治体に確認しておくことが大切です。

要配慮者別避難訓練の実施方法

家族全体での避難訓練

要配慮者がいる家庭では、通常の避難訓練に加えて特別な配慮が必要です。

訓練の実施ポイント:

1. 実際の避難ルートでの練習

2. 時間帯を変えての複数回実施

3. 家族が不在時の対応確認

4. 近隣住民との連携確認

要配慮者別訓練のチェックポイント

赤ちゃん連れ訓練:

– 抱っこ紐での移動時間測定

– 非常持ち出し袋の重量確認

– 泣き声対策の実践

– 授乳・おむつ替えスペースの確認

高齢者訓練:

– 避難にかかる実際の時間測定

– 介助方法の確認

– 車椅子での移動ルート確認

– 医療機器の持ち出し手順確認

ペット訓練:

– キャリーバッグでの移動練習

– 避難所でのペット飼養エリア確認

– 他のペットとの接触対応

– 飼い主以外の人による世話の練習

地域コミュニティとの連携

近隣住民との協力体制構築

災害時の要配慮者支援では、地域コミュニティとの連携が不可欠です。

連携の具体的な方法:

1. 自治会・町内会への参加

2. 防災訓練への積極的参加

3. 要配慮者情報の共有

4. 相互支援体制の確立

普段から近所や地域の人と交流しておくと、災害時に効果的な支援が期待できます。日頃から積極的に地域の行事や活動に参加し、近所の方と交流を持つことで、特に地域の防災訓練に参加しておくといざというときに行動しやすくなります。

避難行動要支援者制度の活用

避難行動要支援者名簿は災害対策基本法により各自治体に作成が義務づけられており、この名簿に登録すると支援者が日常の見守りや避難訓練などを実施し、災害時には避難連絡や避難誘導などの支援を行います。

まとめ:要配慮者を守る防災対策の要点

要配慮者がいる家庭の防災対策は、一般的な防災対策をベースに、それぞれの特性に応じた特別な準備が必要です。

赤ちゃん防災の核心

液体ミルクの備蓄が最重要

抱っこ紐での避難を基本とする

3日分以上の専用物資を準備

避難所での周囲への配慮を心がける

高齢者災害対策の要点

警戒レベル3で早めの避難

避難行動要支援者名簿への登録検討

処方薬の十分な備蓄

実際の避難ルート確認

ペット避難の基本

同行避難が原則

5-7日分の専用物資準備

日頃からのしつけが重要

自治体の受け入れ体制確認

災害はいつ発生するかわかりません。要配慮者の特性を理解し、適切な準備を行うことで、いざという時に家族全員の安全を守ることができます。

今回ご紹介した対策を参考に、まずは非常持ち出し袋の準備から始めてみてください。そして定期的な見直しと訓練を通じて、災害に強い家庭を作り上げていきましょう。

災害対策は「備えあれば憂いなし」です。大切な家族の命を守るため、今日から実践できることから始めてみませんか。