
日本は毎年のように大きな災害に見舞われており、私たち家族の安全を守るためには、災害発生時の正しい初動対応を知っておくことが何よりも重要です。災害発生時に「どうすればいいかわからない」という状況では、取り返しのつかない事態になりかねません。
地震が発生したとき、被害を最小限におさえるには、一人ひとりがあわてずに適切な行動をすることが極めて重要です。今回は、家族を守るための災害発生時の正しい初動対応について、具体的にお話していきますね。
災害発生時の基本的な初動対応の流れ
災害が発生した瞬間、私たちには限られた時間しかありません。緊急地震速報を見聞きしてから強い揺れが来るまで数秒から数十秒のわずかな時間しかありません。この短い時間で的確な判断と行動を取ることが、家族の命を守る鍵となります。
最初の30秒が勝負!身の安全確保
災害発生時、まず最初に行うべきことは自分と家族の身の安全確保です。クッションやバッグなど、手近にあるもので頭部を覆って守ることが重要。移動が可能なら、テーブルの下など空洞となる場所に逃げ込みましょう。
家の中にいる場合は、以下の順序で行動してください:
1. 頭部を守る:クッションやバッグで頭をかばい、落下物から身を守る
2. 安全な場所に移動:テーブルの下や柱の近くなど、構造的に安全な場所へ
3. 出口の確保:ドアや窓を開け、避難路を確保する
4. 火の始末:可能な場合は、コンロやストーブの火を消す
情報収集と状況把握
身の安全が確保できたら、次は情報収集です。緊急地震速報は震度5以上が予想されたときに発表され、テレビやラジオ、携帯電話、市町村の防災無線などを通じて報知されます。
災害発生時には、以下の情報源を活用しましょう:
– テレビ・ラジオ:災害情報や避難指示の確認
– 携帯電話・スマートフォン:緊急地震速報や避難情報の受信
– 防災無線:自治体からの直接的な指示
– 近隣住民:現場の状況確認
災害別の具体的な初動対応方法
地震発生時の初動対応
地震は予兆なく発生するため、日頃からの準備と瞬時の判断が重要です。
室内にいる場合
– 机の下にもぐり、机の脚をしっかりと握る
– 揺れが収まるまで動かない
– 慌てて外に飛び出さない
屋外にいる場合
– 看板や建物の外壁、電柱から離れる
– 頭上に注意し、かばんなどで頭を守る
– 広い場所や建物の出入り口から離れたところに避難
車を運転している場合
– 急ブレーキはかけず、徐々に減速する
– 道路の左側に停車し、エンジンを切る
– キーをつけたまま車を離れ、徒歩で避難する
阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などでは、多くの方が倒れてきた家具の下敷きになって亡くなったり、大けがをしました。このことからも、家具の転倒防止対策が重要であることがわかります。
台風・大雨発生時の初動対応
台風や大雨は、地震と違って事前に予測できる災害です。早め早めの防災行動をとるようにしましょう。
台風接近前の準備
窓や雨戸はしっかりとカギをかけ、必要に応じて補強する。側溝や排水口は掃除して水はけを良くしておく。風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定したり、家の中へ格納する。
大雨・洪水時の対応
地下室にいる場合は、水圧でドアが開かず脱出できなくなる恐れや地下に流入する水の勢いで避難ができなくなる恐れがありますので、早期に避難する必要があります。
気象庁では、地図上のどこで危険度が高まっているかがリアルタイムで色分けされる「キキクル(大雨・洪水警報の危険度分布)」も提供しています。このようなツールを活用して、危険が迫る前に適切な行動を取りましょう。
家族で作る防災計画のポイント
避難場所と避難経路の確認
家族で避難場所や避難経路を確認しておく。ことは、災害発生時の混乱を最小限に抑えるために非常に重要です。
避難場所には2つの種類があります:
指定緊急避難場所
災害の危険から命を守るために緊急的に避難をする場所。災害の種別ごとに指定され、土砂災害においては頑丈な建築物、地震などでは学校のグラウンドや駐車場など。
指定避難所
避難した住民などが災害の危険がなくなるまで、必要な期間滞在、または災害により自宅へ帰れくなった住民などが一時的に滞在することを想定した施設のこと。学校や体育館、公民館などの公共施設。
家族の安否確認方法
外出中に家族が帰宅困難になったり、離れ離れになった場合の安否確認の方法や集合場所を決めておく。
安否確認の方法として、以下のようなものがあります:
– 災害用伝言ダイヤル(171)
– 災害用伝言板
– SNSの安否確認機能
– 事前に決めた集合場所
非常持ち出し袋の準備と中身
持ち出し袋の基本的な考え方
避難所に行くなら、持ち出し品をやたらと増やす必要はありません。背負って小走りで移動できる程度の重さを目安に、移動中の安全を確保するツール、避難所での生活に役立つ備品をコンパクトにまとめましょう。
重さの目安として、重さの目安:男性は15kg、女性は10kg程度が適切とされています。
絶対に必要な基本アイテム
水と食料
避難時に使う水として、一人当たり500mlのペットボトル2本くらいで十分だと思います
衛生用品
人によってトイレに行く回数は異なりますが、1日5〜8回が一般的です。例えば、4人家族でそれぞれが1日5回トイレに行くのであれば、5回×4人=20回分の携帯トイレを準備しておきましょう。
貴重品
公衆電話を使用するための小銭を中心とした現金、身分証明書や健康保険証のコピー、公的機関の手続きで必要な印鑑(認印)は必ず入れておきましょう。
女性や子どもがいる家庭の追加準備
乳幼児がいるのであれば、ミルクや哺乳瓶、紙オムツなどが必要です。
女性の場合は、災害時でも安心して過ごすために使い捨てタイプや洗って繰り返し使えるタイプなど、自分に合った生理用品を持っておきましょう。
在宅避難のための備蓄品
基本的な備蓄の考え方
大規模災害発生時には、「1週間分」の備蓄が望ましいとされています。一方で、目安として最低限3日間程度の水や食料品は備蓄しましょう。
水の備蓄
飲料水…一人1日3リットルを目安に、3日分を用意することが重要です。
食料の備蓄
食品…ご飯(アルファ米など一人5食分を用意)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど、一人最低3日分の食料を備蓄しておきましょう。
備蓄品の保管方法
防災のために特別なものを用意するのではなく、できるだけ、普段の生活の中で利用されている食品等を備えるようにしましょう。
この「ローリングストック」という方法を使うことで、期限切れを防ぎながら、日常的に備蓄品を更新することができます。
日頃からの心構えと準備
家族での防災意識の共有
地震が発生した時の出火防止や初期消火など、家族の役割分担を決めておく。
家族全員が災害時の役割を理解し、定期的に確認することが大切です。
地域との連携
普段のつき合いを大切にするなど、隣り近所との協力体制を話し合っておく。
災害時は、災害による被害をできるだけ少なくするためには、一人ひとりが自ら取り組む「自助」、地域や身近にいる人同士が助け合って取り組む「共助」、国や地方公共団体などが取り組む「公助」が重要だと言われています。
情報収集と知識の向上
新聞、テレビ、ラジオやインターネットなどから、防災に関する情報を収集し、知識を身につけておく。
災害は忘れた頃にやってくるとよく言われますが、私たちにできることは、日頃からの準備と正しい知識の習得です。日頃から防災対策をしておくことで、被害を少なくすることはできます。
家族の安全を守るための災害対応は、決して難しいものではありません。正しい知識と準備、そして家族全員での防災意識の共有があれば、どんな災害にも対応できる力を身につけることができます。
今回お話した内容を参考に、ぜひご家族で防災について話し合い、実際の準備を始めてみてください。災害はいつやってくるかわかりません。「今」から始めることが、家族の命を守る第一歩になります。
まずは小さな一歩から。非常持ち出し袋を準備したり、避難場所を確認したりすることから始めて、徐々に防災対策を充実させていきましょう。あなたの行動が、大切な家族の命を守ることに繋がっているのですから。