梅雨の時期、身近でありながら、時には命の危険すらもある恐ろしい食中毒。

今回は、そんな身体に様々な症状を引き起こす食中毒の代表的な細菌やウイルスなどについて解説していきます。

様々な菌やウイルスがありますが、その特徴をある程度把握することによって食中毒予防に役立ちます。

これだけは知っておきたい!代表的な食中毒菌とは?

食中毒は、食品に含まれる微生物が原因となって発病する病気のことを指します。

代表的な食中毒菌として、以下のようなものがあります。

1. サルモネラ菌

出典:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/sarumone.html

サルモネラ菌は、鳥や家畜の腸内に生息している菌で、生肉や生卵、生乳など、加熱調理をしないで食べると感染することがあります。

症状は下痢や腹痛、発熱、嘔吐などがあります。

2. カンピロバクター菌

出典:https://institute.yakult.co.jp/bacteria/4204/

カンピロバクター菌は、生肉や未加熱の鶏肉、生乳、生クリームなどに含まれています。

症状は下痢や腹痛、発熱、血便を伴う症状などがあります。

3. エシェリヒア・コリ菌

出典:https://institute.yakult.co.jp/bacteria/4201/

エシェリヒア・コリ菌は、家畜の腸内に生息している菌で、汚染された水や食品を介して感染します。

もっと一般的な名称で言えば、大腸菌と呼ばれるものです。

症状は下痢、腹痛、吐き気、嘔吐などがあります。

昔、日本でも脅威をもたらしたO157などもこの種の菌になります。

4.黄色ブドウ球菌

出典:https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/kenko/eiseikensa/gyomu/5/1/1/4078.html

黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚、鼻や口の中、傷口、髪の毛などに存在し、手作業で触れる食品に感染することがあります。

この菌の原因となりやすい食品は、おにぎり、いなりずし、巻きずし、弁当、調理パンなど手作業で加熱後に作られる食品です。

黄色ブドウ球菌は、食後1~6時間以内に吐き気、嘔吐、腹痛が起こり、下痢もしばしば現れますが、発熱はありません。

菌は熱に弱く、加熱によって死滅しますが、菌が生成する毒素は熱に強いため、一度毒素ができてしまうと、加熱しても食中毒を防げません

5.ボツリヌス菌

出典:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/clostridium.botulinum.html

ボツリヌス菌は食事の後、8~36時間後に、吐き気、下痢、話すことがうまくできなくなる、食べ物を飲み込むことが難しくなるなどの症状が出現する可能性がある細菌です。

深刻な場合、呼吸困難に陥り、死亡することもあります。

乳児ボツリヌス症の場合、数日間便秘が続き、その後授乳やミルクをうまく飲めなくなり、泣き声が小さくなったり、表情がなくなったり、首や手足の筋力が低下することが知られています。

乳児ボツリヌス症は、乳児の腸管内の細菌叢(様々な細菌の集まり)が不安定で、ボツリヌス菌の感染に対する抵抗力が低いためにおきると考えられています。)

自家製の保存食品(佃煮、瓶詰め、缶詰めなど)は長期的に保存されるため、このような症状を引き起こす原因となることがよくあります。

レトルト食品に似た包装の食品が、誤って常温保存された場合、これらの症状を引き起こす原因にもなります。

海外では、ハムやソーセージもこのような症状を引き起こす原因となっています。

これらの菌が、食品を介して感染する主な細菌として挙げられます。

食中毒を予防するためには、熱を加えて十分に調理すること、食材や調理器具、手などの衛生管理を徹底することが必要です。

食中毒をもたらす代表的なウイルス

ウイルスもまた、食中毒をもたらすことで、一般に知られる代表的なものがいくつかあります。

以下に、日本での食中毒の原因としてよく報じられるウイルスのいくつかを紹介していきます。

1.ノロウイルス

出典:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/norovirus.html

ノロウイルスは食事に含まれるウイルスで、カキなどの二枚貝を生で食べた場合や適切に加熱していない場合に感染することがあります。

また、ウイルスが付着している食品、あるいは感染している人の手で調理された食品を食べた場合も感染します。

そして、ノロウイルスによる食中毒の感染源が、患者が排泄した便や嘔吐物である場合、これらを適切に処理しないと、乾燥することでウイルスが舞い上がり、口や粘膜に付着して感染することもあります。

そのため感染力が強く、特に食品を扱うところでノロウイルスが発生すると集団感染につながる可能性がある恐ろしいウイルスの一つです。

ノロウイルスは食事後、1〜2日程度で、激しい下痢、腹痛、嘔吐などの症状が生じます。

さらに年少者や抵抗力の落ちた方々では、この症状が深刻化することがあります。

2.A型肝炎ウイルス

出典:https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/320-hepatitis-a-intro.html

A型肝炎ウイルスは国内では主に、生で食べたり加熱不足の魚介類が感染源となります。

このウイルスに感染している人が調理したり、ウイルスに汚染された包丁を使用した食品などを通じて、ウイルスが付着した食品が感染源となります。

また、海外でA型肝炎が流行している地域では、感染している人や動物の排泄物によって汚染された生水や生の食品が感染源となる場合があります。

感染後、約1ヶ月の時間が経過すると、発熱、疲れ、食欲不振、嘔吐、そして皮膚や粘膜が黄色くなる黄疸などの症状が現れます。

小児は症状が出る場合が少ない傾向がありますが、高齢になるにつれて症状が出る確率が増加します。

症状の多くは自然治癒するものでありますが、高齢者では症状がさらに進行する可能性があります。

3.E型肝炎ウイルス

出典:https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/319-hepatitis-e-intro.html

E型肝炎は国内では主に、生または加熱不足のブタ、イノシシ、シカなどの肉や内臓が感染の原因となります。

海外でE型肝炎が発生している地域では、ウイルスに感染している人や動物の排泄物によって汚染された生水や生食品が感染源となる可能性があります。

E型肝炎に感染した場合、ほとんどの人は症状を発症しないことが一般的です。

しかし、一部の人は感染後約6週間経過すると、だるさ、皮膚が黄色くなる黄だん、発熱などの症状が現れることがあります。

ただし、症状が出た場合でも、多くの人は完全に回復することができます。

しかしその中でも、まれに重症化し、命を落とすこともあるため、妊婦や高齢者は特に注意が必要です。


代表的な細菌やウイルスをいくつか紹介してきましたが、特に季節を問いませんが生の魚などに寄生し、食べてしまうと激しい腹痛をもたらすアニサキスなどの寄生虫もいます。

この時期の食品には、こういったリスクがあることを理解した上で、手洗いや消毒、食べ物を適切な状態で保存するなど食中毒にならないための予防を心がけましょう。