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エコノミークラス症候群とは?なぜ災害で危険なのか、危険なサインと予防法を徹底解説

エコノミークラス症候群とは?なぜ災害で危険なのか、危険なサインと予防法を徹底解説

令和8年熊本地震の被災地では、車中泊や避難所生活を続けている方がまだ多くいらっしゃいます。これまでの記事では熱中症や感染症についてお伝えしてきましたが、もうひとつ、命に関わる危険として必ず知っておいていただきたい病気があります。

エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)です。今回は、この病気がなぜ災害のたびに深刻な問題として取り上げられるのか、どんな症状が危険なサインなのか、そして予防法について、公的機関・学会の情報をもとに詳しくまとめます。

エコノミークラス症候群とは、どんな病気か

正式には「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる病気です。仕組みはこうです。

長時間同じ姿勢で足を動かさずにいると、足の深い場所を通る静脈の血の流れが滞り、血のかたまり(血栓)ができることがあります。これを「深部静脈血栓症」と言います。

そして、この血栓の一部が剥がれて血流に乗り、肺の血管を詰まらせてしまうことがあります。これが「肺血栓塞栓症」で、いわゆる「エコノミークラス症候群」の本体にあたります。飛行機のエコノミークラスのように狭い座席で長時間過ごすことで発症しやすいことからこの通称がついていますが、車中泊や避難所生活でも同じ仕組みで発症します

参考: 日本呼吸器学会「エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)に関するQ&A」

なぜ災害時にこの病気がクローズアップされるのか

血栓ができやすくなる条件として、医学的に「血流のうっ滞(流れが悪くなること)」「血管の損傷」「血液の固まりやすさの亢進」の3つ(ウィルヒョウの3徴と呼ばれます)が知られています。

そして災害時の車中泊・避難所生活は、この3つの条件がそろいやすい環境なのです。

  • 血流のうっ滞: 車の座席や雑魚寝の狭いスペースで、長時間同じ姿勢を続けてしまう
  • 血液の固まりやすさ: 断水や「トイレを我慢したくない」という気持ちから水分を控えてしまい、脱水状態になる

「トイレの回数を減らしたいから水を飲まない」「揺れが怖いから車の中でじっとしている」——被災地では誰もが取ってしまいそうな行動が、実はこの病気のリスクを直接高めてしまう、というのが恐ろしいところです。トイレ我慢と水分摂取の関係については、こちらの記事でも詳しく触れています。

過去の震災では、実際にどれくらい深刻だったのか

2016年の熊本地震では、総死者263人のうち震災関連死が208人にのぼりました。直接死の4倍にあたる数字です。そのうち少なくとも60人が車中泊をしていたことが分かっています。発災から4日後には、車中泊をしていた50代女性が急性肺血栓塞栓症で亡くなるという事例も報告されました。

東日本大震災では、福島県立医科大学の医療チームが避難所を巡回し、超音波検査で1,000人を超える被災者をスクリーニングしたところ、約10%に血栓が見つかったという調査結果が報告されています。つまり10人に1人が、発症してもおかしくない状態だったということです。

参考: ウェザーニュース「熊本地震 犠牲者の5分の4が災害関連死 エコノミークラス症候群どう防ぐ」(2018年4月12日)

🔴見逃してはいけない危険なサイン

日本呼吸器学会は、以下のような症状がある場合は「躊躇せず救急要請を」と呼びかけています。

突然の強い胸痛、背部痛、冷汗、安静時の呼吸困難

これらは、比較的大きな血管に血栓が詰まった可能性を示すサインです。ためらわず救急要請してください。

また、このほかにも次のような症状に注意してください。

  • 片方の脚だけのむくみ・腫れ・痛み、左右で太さが違う
  • 歩いたときや階段で急に息切れするようになった
  • 動悸がする

参考: 前掲・日本呼吸器学会Q&A

今日からできる予防法

循環器の専門家からは、主に次のような予防が呼びかけられています。

①こまめに脚を動かす
かかとの上げ下ろし運動、足首を回す、ふくらはぎを軽くマッサージする——こうした動きを座ったままでもこまめに行うことが有効です。長時間車のシートで眠り続けるのは避け、可能なら車外で軽く歩く時間を作ってください。

②水分をしっかりとる
血液を固まりやすくしないために、こまめな水分補給が欠かせません。目安としてペットボトル2本分(約1リットル)程度を意識するとよいとされています。トイレの心配で水分を我慢するのは、かえって危険を高める行動です。

③ゆったりした服装・体を締め付けない
ベルトをきつく締めない、ゆったりした服装を選ぶことも血流を妨げないために大切です。

④弾性ストッキングの活用
日本循環器学会は、車中泊などでどうしても運動が難しい場合、弾性ストッキングを適切な指導のもとで使用することで予防効果が高まるとしています。避難所の医療救護班や薬剤師に相談してみてください。

⑤簡易ベッド・段ボールベッドの活用
可能であれば雑魚寝を避け、簡易ベッドを使うことも推奨されています。床に近い場所で寝るより、体を動かしやすくなります。

紘一のひとこと:
正直、私自身も被災した当時「エコノミークラス症候群」という言葉は知っていても、まさか自分に関係あるとは思っていませんでした。でも調べてみると、「トイレを我慢する」「車の中でじっとしている」という、被災地で誰もがやってしまいそうな行動そのものがリスクだと分かって、背筋が伸びる思いでした。水分補給とちょっとした運動、これだけでもリスクはかなり下げられます。周りに車中泊をされている方がいたら、ぜひこの記事の内容を伝えてあげてください。

まとめ

  • エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)は、車中泊・避難所生活で誰にでも起こりうる
  • 2016年熊本地震では震災関連死208人中60人以上が車中泊者、東日本大震災では避難所の約10%に血栓が見つかったという報告も
  • 突然の胸痛・呼吸困難・冷汗があれば、ためらわず救急要請を
  • 予防の基本は「こまめに脚を動かす」「しっかり水分をとる」「体を締め付けない」

参考:
日本呼吸器学会「エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)に関するQ&A」
ウェザーニュース「熊本地震 犠牲者の5分の4が災害関連死 エコノミークラス症候群どう防ぐ」
厚生労働省「避難生活を送られている皆様へ(エコノミークラス症候群の防止と給水・入浴について)」


※本サイトは、東日本大震災を経験した設定の運営者が独学で集めた防災知識を発信する個人ブログです。医療・法律・行政の専門的判断が必要な場合は必ず専門機関・自治体の情報をご確認ください。専門家の見解を引用する際は必ず出典を明記しています。本記事は病気に関する一般的な知識の紹介であり、診断や治療を目的としたものではありません。上記のような症状が疑われる場合は、自己判断せず直ちに医療機関・救急(119番)にご相談ください。

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