ここのところ、気象関連のニュースで全国で黄砂が観測されたということが記事になっています。
特に春先~初夏の気候の良い時期に日本に良く飛んでくるこの黄砂とは一体何なのか。
今回の記事では、黄砂とは何なのかという解説と、その発生のメカニズムについて書いていきます。
黄砂とは?
出典:https://tenki.jp/forecaster/t_yoshida/2023/05/22/23324.html
日本に飛来する黄砂は、中国内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って運ばれることで発生します。
黄砂は、大気中に浮遊し、あるいは降下して、農業生産や生活環境に重大な被害を与えるばかりでなく、黄砂粒子を核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の気候にも影響を与えます。
また、海洋へも降下し、海洋の生態系にも大きな影響を及ぼすことが考えられますが、その量については未だ明確にされていません。
従来、黄砂は自然現象として理解されてきましたが、近年では頻度や被害が大きくなっており、急速な土壌の劣化や農地転換による影響も指摘されています。
そのため、黄砂は単なる自然現象に留まらず、森林減少、土地の劣化、砂漠化などの人為的影響も持つ環境問題として認識が高まっています。
黄砂発生のメカニズムと輸送のしくみ
黄砂発生のメカニズムは気象や地質などの要素が組み合わされて形成されており、その原因はひとつではなく気象や地質など複数の要素が複雑に絡み合って発生しています。
北東アジアを起源とする黄砂は偏西風によって輸送され、北太平洋を横断し北米大陸まで到達することが衛星画像やモデル計算から分かっています。
飛来する黄砂の粒子性質について
黄砂粒子には、石英や長石などの造岩鉱物や、雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物が多く含まれ、日本まで輸送される黄砂の粒径の分布は直径4ミクロン付近にピークを持っています。
黄砂の粒子を分析した結果、黄砂が土壌起源であるとは考えられないアンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの人工的な大気汚染物質も付着し検出されていることが報告されています。
つまり、黄砂が運ばれる過程で、人間の活動に由来する大気汚染物質を含んでいる可能性があることが示唆されました。
黄砂による健康被害や実生活への影響
大気の汚染物質を付着させ、日本列島各地に降り注ぐことから、黄砂はこの時期の厄介者と言えます。
大気汚染物質に過敏な反応を示す人や、アレルギーを持つ人は、この黄砂が降り注ぐことで咳・喉の痛み・目の痛み・心筋梗塞など重大な健康被害を受けることもあります。
また、多く降り注ぐと視界が悪くなり、車の運転などに支障をきたすこともあります。
黄砂自体が砂なので、車や洗濯物などに付着して汚れを増大させてしまうこともあります。
とにかく、この時期の黄砂は大気が乾燥しがちな時期でもあることから多く飛散することになり、日本列島に様々な被害をもたらします。
たかが砂と思うかもしれませんが、近年のこの時期の大きな問題がこの黄砂問題であることは疑いようのない事実であるのは間違い有りません。